キャンピングカー情報をはじめとして、キャンプや車中泊、バンライフなど、アウトドア&車旅の情報を配信しているWEBマガジン・DRIMOから、実際に車中泊やキャンピングカーを楽しんでいるライターによる記事をMOBYがご紹介します。※以降の記事内容はDRIMOからの引用・参照です


子ども連れのキャンプや、リタイア後の夫婦旅、ときにはペットがパートナーであるなど、ファミリカーのイメージの強いキャンピングカー。

私は家族旅もしますが、もろもろの事情でひとり旅のことも多々あります。

ソロキャンプブームはありつつも、観光旅行ではソロ車中泊はまだまだ少数派。

今回は「寂しくないの?」「どうやって時間を過ごしているの?」といったソロ車中泊の日常をご紹介したいと思います。

ひとり旅のいいところ

今さら言うまでもないことですが、ひとり旅には無類の魅力があります。

パートナーがいても「あえて」ひとり旅を選択する人もいることでしょう。

逆に「否定はしないけれど自分はやらない」「ひとりだと楽しさ半減」という人もいるはずです。

私にとっても、ひとりでの車中泊は一長一短あるものですが、それでも魅惑的な旅のスタイルです。

どんなところが魅力か一緒に見ていきましょう。

自由がある

とり旅の魅力は、なんといっても「自由」なことです。

すべてを自分の好み、気分、体調で決めることができます。

どんなに親しい相手であっても自分とは違う人間ですから、グループ旅では配慮や調整が欠かせません。

たとえば相手の趣味に合わせたり、体調を気遣ったり、起きる時間を相談したり。

もちろん大事な人と一緒の旅は、多少の行き違いを「補って余りあるほどの魅力」もあるわけですが、ひとり旅ならば目的地も滞在時間も急な予定変更も自由自在。

わがままや気まぐれをとがめる人は誰もいません。

完全に自分好みのストレスフリーな旅ができる、それが最大の魅力といえるでしょう。

車内を広く使える

物理的なメリットもあります。

たとえば軽キャンパーのような小型車でも快適な車中泊が可能なことや、車を広く使えること。

通常キャンピングカーは複数人での使用を想定していると思いますが、狭い車内では着替えも移動も同乗者と息を合わせなければ難しいのが実情ではないでしょうか。

ひとりならば、着席した状態で360°すべてに手が届く夢の秘密基地に!

私は旅先に折りたたみ自転車を持っていくことがあるのですが、搭載にはかなりの床面積をとります。

それもひとりだから実現することです。

感性が鋭くなる

先に述べた「自由がある」ことや、後に述べる「時間があり余る」ことにもつながるのですが、ひとり旅ではすべてが自己責任です。

危険な目に遭わないように、道を間違えないように、車をこすらないように、病気や怪我をしないように。

常に神経を張り巡らせて情報収集をしています。

生物としての生存本能だと思いますが、グループ旅とはまったく違う緊張感があります。

キャンプに出かけると、野生を思い出すかのように感覚が鋭敏になるのと似ているかもしれません。

なにか失敗しても「ほら、だからいったじゃない!」と責める相手もいないので、自立心が芽生えます。

また、話し相手は自分しかおらず、とにかく時間があるため、自分とよく向き合うようになります。

たとえば何時間もの長距離運転中、頭の中で繰り広げられるのは「これまでのこと」「これからのこと」「出会った人のこと」…

気づくと禅問答のように哲学的な思索にふけっていることも。

せわしない日常生活では経験できないことで、旅の醍醐味とも思います。

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ひとり旅の難しいところ

逆にデメリットはあるでしょうか。

現実的には、国内ひとり旅で困ることはほとんどありません。

夜道でも女性ひとりで歩ける治安のいい国ですし、とくに近年はソロ活ブームでもあります。

よく欧米はカップル文化なのでシングルだと飲食店に入れない、なんて話もありますが、日本ではよほどの高級店でない限りそんなことはないでしょう。

料亭のような少し敷居が高いところも、旅行会社のツアーで行けたりします。

近年の「はとバス」や「京都定期観光バス」などの日帰りツアーでは、食事場所でも参加グループごとにテーブルが用意されることがほとんどです。

ひとりでも相席にはならないため気兼ねもいりません。

強いてデメリットを言うなら、テーマパークに入りにくいくらいでしょうか。

ひとり旅の困難は、むしろ「気持ちの保ち方」のようなソフト面にあるかもしれません。

いくつか挙げてみます。

夜の時間を持て余す

観光やアクティビティを終え、車に戻った夜の時間。

みなさんはどう過ごされるでしょうか。

もし同乗者がいるなら、晩酌をしたりコーヒーを飲んだりテレビを観ながらおしゃべりしたりと、意識せずとも「何気なく過ぎていく時間」がリラックスタイムの大半を占めるでしょう。

ひとり旅には当然のことながら「話し相手」はいません。

長旅になると当初の新鮮さやワクワク感も薄れてきます。

とくにRVパークなどでの車中泊では、キャンプと違ってギアを片づけたり食器を洗ったり焚き火の番をしたりといった作業もありません。

なんとなく退屈で、でも疲れているので、ぼんやりとスマートフォンを眺めているだけ、といった無為な時間に陥ってしまうことがあります。

そんな日は、夜がとても長く感じます。

気持ちが落ち込み過ぎないように私がやっているのは、なるべくルーティンを作ること。

たとえば「日記を書く」「オーディオブックを聴く」「ゲームを進める」といったことです。

電子書籍で長編を読破するなんてのもいいですね。

「やることがいろいろある」という状況を意識して作り出すことがポイントのような気がします。

ひとりの寂しさ

ひとり旅をしているとよく聞かれる「寂しくないの?」という質問。

寂しさの性質はさまざま。

たとえば、この体験を誰かと分かち合いたいという漠然とした孤独感であったり、具体的な相手を思い浮かべてのホームシックであったり、二度と会えない人を想う切実な喪失感であったり……。

私の場合は「ここに○○がいたらよかったな」「一緒に食べたかったな」というような、現実的で具体的な人恋しさに近いでしょうか。

とくに人で賑わう飲食店や、観光を終えて車に向かう道中には強く思います。

家々に温かい明かりが灯る中、ひとりで歩く夜道には、なかなかの物悲しさがあります。

とはいえ、夜が明けて太陽に包まれれば、また「今日はどこへ行こう」「すべて自分で決められるなんて最高!」という気分に。

寂しいときもあるけれど、いつもではない、という感覚が近いです。