4WSのメリット

©beeboys/stock.adobe.com

先でも少し触れたように車を曲げるためにはコーナーリングフォースが必要で、それはスリップアングルがつくことで生み出されますから、前輪だけでなく後輪にも舵角をつけられる(つまりスリップアングルを生み出せる)点がメリットとなっています。

高速走行時、車線変更による横滑りを防ぐ

同位相方式による四輪操舵は、主に高速走行時の車線変更による横滑りを防ぐなどのメリットがあります。同時に、逆位相方式のデメリットとして挙がる「縦列駐車が難しくなる」点は同位相がカバーしています。

大型車でも取り回しがよくなり運転しやすい

逆位相方式による四輪操舵は、回転半径や内輪差が小さくなることで、大型サルーンがあたかもコンパクトカーのような身のこなしで曲がれるようになるメリットがあります。

(広告の後にも続きます)

4WSのデメリット

前輪と後輪の両方を操舵できる構造ゆえにデメリットもあります。それは車両重量の増加、製造コスト増加、定速運転時の難易度上昇です。

装備品が増えれば重さも価格も重く高くなる

4WSを実現するために必要な部品を装着した分だけ車両重量が増加します。車両重量の増加は燃費や軽量性を悪化させる要因にもなります。

また、部品点数の増加は製造コストを上げることにもつながり、自動車に当てはめて考えればそれは車両価格の高騰の理由にもなります。実際、新車価格の安い車種で4WSのものはありません。

前輪操舵のみの車種と比べて変わった動きになる

前輪だけを操舵する車両と比べると少し特殊な動きをする点もデメリットと言えるでしょう。特に低速域、より具体的には駐車する際に如実に現れます。

4WSが低速時に逆位相方式となるのは先ほど説明した通りです。つまり駐車する時や狭いところをゆっくり通る時に後輪が前輪とは反対側を向くわけですが、左右車輪が隣の車両や障害物などに接触しないよう気をつける必要があります。

また、逆位相方式の状態で曲がると内輪差減少によりオーバーハング傾向になってしまいます。内側に寄せすぎて擦ってしまうリスクが下がる代わりに外側の障害物等との距離感を正確に把握しなければなりません。

慣れていない人が4WSの車両を運転する際や、自身の車両を別の人に運転してもらう際には、これらのことを把握するまたは伝えるようにしましょう。