数年振りに休暇を南の島で過ごす、その目的は。

元来の旅好きが高じて全ての都道府県に訪れたことがある。そのなかでも沖縄県はお気に入りの一つ。これまで沖縄本島はもちろん八重山列島も幾度か訪れ、石垣島を中心に船で渡れる竹富島や小浜島、西表島、波照間島など島旅を楽しんできた。しかし、旅客フェリーの運行がなくなり飛行機でしかアクセスできない宮古島は未踏の地だった。

「いつ命が失われてもおかしくない」。当たり前のことなのに目を逸らしてきた現実を、まざまざと考えさせられたこの数年間。行けるようになったら、行きたいところへ行こう。その思いを果たすため、久々の旅先を宮古島に選んだ。

宮古島は8つの有人島と4つの無人島からなる宮古列島の中心地。「山も川もない平坦なサンゴ礁の島」と言われ、青く輝く遠浅の海と真っ白な砂浜が、この世のものとは思えないほど美しい。宮古島に上陸して少し過ごしただけでも、沖縄本島や石垣島とも違う、のどかな雰囲気を感じとることができる。

温暖な気候と山や坂のない平坦な地形を生かし、島の大部分は農地となっている。主な農産物はサトウキビや葉たばこ栽培、肉用牛の生産だ。

また近年は野菜や熱帯果樹の生産にも力を入れているといい、公設市場へ訪れてみるとさまざまな島野菜や果物が並んでいる。それらの生産物を眺めながら、島を去るとき自分への土産は現地の果物を買おう。そんなことを思いながら、宮古島でのバケーションが始まった。

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あえて何もしない。それが基本的な過ごし方。

スキューバダイビングやシュノーケルなどの定番マリンスポーツやゴルフを楽しむのも良いが、美しいビーチを前にして、今回は「何もしない」という過ごし方を選んだ。この数年で変わってしまった環境の変化や生活様式の転換で、想像以上に心がクタクタになっていた。

遊ぶためにはパワーが必要だ。まずはそのパワーを充電するために、ぼんやり海を眺めて、美味しいご飯を食べて、心地よく酒を飲む。そのために一人でここまで来たのだ。大袈裟でなく、いま一人になりたいと考える人は潜在的に多い気がする。だからこそソロキャンプがブームになったのだろう。

さて唐突ではあるが、そんな旅人が宮古島で最も多くの時間を過ごしたスポットを紹介したいと思う。

与那覇前浜ビーチ」である。

定番すぎる? いやいや良いんだよ、定番で。下調べの段階で一目惚れした美しいビーチ。「東洋一の美しさ」とまで称される最高の景観だ。

どこまでも歩いて行けそうなサンゴの海、他では見られない“宮古ブルー”と呼ばれる青い色。さらさらと細かい白砂は、生まれ育った北海道には絶対に存在しない代物だ。

時期が良かったのか海開き直後にもかかわらず、観光客の姿はまばら。静かに呼吸をして佇むにはちょうど良い環境。時間が限られた旅路の中で過ごす最適解だ。

夕方まではキッチンカーが数台出ており、喉が乾いても問題ない。採れたてのマンゴーを100%使用したフレッシュジュースや、チャーミングなお姉さんが販売しているインスタ映えしそうなレモネード。それらを片手に海を眺めているだけで、心が浄化されていくのがわかる。


左/ビクトリアレモネード、右/ピンクレモネード(ともに600円)。アリシアスタンで提供している。


店主の実家であるマンゴー農家から直で仕入れた素材を使用。マンゴージュース(800円)

また、キッチンカーの目の前には防水仕様の白いソファーが設置された、ウッドデッキの喫煙所がある。スモーカーである自分にとって、このスポットはありがたい。美しい海を眺めながら、美味しいジュースに潤いを得て、たばこを一服。

青い海を前に、気分はヘミングウェイである。パパ・ダイキリはマンゴージュースに、葉巻は紙巻たばこ(実際、ヘミングウェイは葉巻を吸わなかったらしいけど)に。ハードボイルドを気取りたくなるのも、ご愛敬。

地元のスモーカーと会話が弾み、おすすめのスポットを教えてもらうことも忘れない。何時間過ごしていても飽きることがない場所だ。

個人的な収穫として、宮古島の“東洋一美しいビーチ”には“東洋一美しい喫煙所”があった、ということは書き残しておこう。

与那覇前浜ビーチ
沖縄県宮古島市下地字与那覇1200-4

BEACH PAVILION MAEHAMA
https://bp-maehama.com