近年、新たな車の購入方法として確立されつつある「残価設定型ローン」。一定のローン契約期間が終わった車は、ユーザーから返却されるケースが多いようです。

残価設定型ローンを終えた車は中古として再び市場に出回りますが、購入にあたって、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

残価設定型ローンを経てきた中古車、メリットはある?

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中古車としてなら、残価設定型ローンを経てきた車はその他の物件より状態がよいケースがあるかもしれないと、中古車の販売を担当するセールスマンは語ります。

「残価設定型ローンを使って購入された新車は、契約終了時に追加請求などのペナルティを避けたいため、無茶な運転はしないなど大切に車を使われている、整備されているケースがあります。そのため、他の中古車よりも状態がよい可能性は高いでしょう。」

一定の条件が決められているなど、車に課せられた”縛り”がある残価設定型ローンを使って購入された車は、手荒に使われた形跡がなく故障の心配が低いというメリットがあるようです。

そのため、中古車で残価設定型ローンを経てきた車を見つけて購入することができれば、お得な買い物ができるかもしれません。

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残価設定型ローンを終えた車を自分から中古車で購入するのは難しい

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しかし結論から述べると、残価設定型ローンを終えた車を、自分から指定して中古車で購入するのは難しいでしょう。

理由は、その中古車が残価設定型ローンを経てきた車かどうか、簡単には調べられない点が挙げられます。

一般的に、ローンで車を購入すると、車検証の「所有者」項目が自動車ディーラーの会社名となります。

しかし、中古車として店頭に並ぶ際はローン払い、あるいはその他の支払方法問わずに、一度はディーラーの所有者名義に変更されてしまいます。

各地に設けられている「運輸支局」へ出向くと、過去の所有者が誰であったか掲載されている「登録事項等証明書」を取得することが可能です。ただし、自動車の登録番号や車台番号(国土交通省が車両1台ごとに割り当てている識別番号)が分からなければ、証明書を発行するのは困難でしょう。

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プライバシーの問題でディーラーは個人情報を公にできない

ディーラー側ではプライバシーの問題で、前のオーナーが残価設定型ローンを利用していたのか詳細を公にするのは難しいようです。

先述のセールスマンに、残価設定型ローンで返却された車の扱いについて質問しました。

「お客様が支払い期間を終えて返却された車は、通常の中古車と同じく販売物件として扱っています。しかし、過去の所有者などの詳しい履歴をお調べになりたいのであれば、私どもではプライバシーの観点でお伝えすることはできかねます。

残価設定型ローンに限らず、クレジット・ローン払いとなればディーラーや金融機関の名義となりますし、支払いが終わって所有権を変更されていたとしても、返却や売却をされてしまえば、既にディーラーや販売店の名義に切り替わってしまうので、今、私どもが車検証で証明するのは難しいのです。

物件についてお問い合わせがあった際は、「この物件はワンオーナーで、過去に残価設定型ローンを使われていた」などの情報までであればお伝えができますが、どこまで信ぴょう性をもっていただけるかは購入を希望されるお客様によるところが大きいです。

どうしても過去の詳しい履歴をお知りになりたい場合は、購入後、運輸支局で出向いていただきご自身で登録事項等証明書の申請をいただくなど、お手数をおかけする形となります。」

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