前回は季節別の釣り方について解説しました。さて今回は場所別の釣り方についてです。
日本各地の沿岸に幅広く生息しているアオリイカは、地形や潮流などのさまざまな「変化」を好み、堤防・磯・サーフといった場所でねらうことができる…というのを、以前お伝えしました(アオリイカは身近な場所でも釣れる?釣り場やねらうべきポイントをおさえておこう!)。では、実際の釣り方についてはどうすればよいのでしょうか? これまでに、季節に準じて選んだ同じ釣場なのに周りの人だけが釣れている…。そんな場面に出会ったことはありませんか? 場所選びは間違っていないはずなのに、なぜ自分には釣れなかったのでしょう…?

そんな疑問にお答えすべく、各釣り場の特徴や釣り方を解説していきます。
広い釣り場の中にも釣れているポイントがあり、周りが釣れていなくても釣っている釣り人がいます。恐らく、そのときどきにマッチした釣り方や理由が必ずあるはずです。その理由にいち早くたどり着ければ、きっと釣果に繋がるはず! といったワケで見ていきましょう。

1.まずは「居着き」と「回遊」を意識しよう



本題に入る前に、まずは抑えておきたい「居着き」「回遊」について知っておきましょう。エギング経験者と話をすると、「居着き」と「回遊」というキーワードはよく出てきます。各場所の攻略には欠かせない重要なポイントなのです。

基本的には回遊性のあるアオリイカですが、個体差によりあまり回遊を好まないタイプもいます。そんな「居着き」タイプのイカは釣りにくく、「回遊」タイプは釣りやすいとされていますが、釣りやすいとされる回遊タイプも、回遊ルートや回遊時間から外れていると意外に釣れません…。意識するポイントも「居着き」と「回遊」では変わってくるので、押さえておきましょう!

※当記事での「回遊」とは、季節的な回遊ではなく1日の中での行動という意味合いでの回遊を指しています

 

(1)居着き

小型のアオリイカにとって回遊とは大型回遊魚にねらわれる危険性のある行動。そのため、すぐにでも身を隠せる場所でないと命が危ういのです。また、もともとエサが豊富な場所であれば回遊する必要もありません。
そんな「居着き」タイプのなかで、とくに成長したものは釣れにくいといわれています。恐らく同じ場所にいるため、何度もエギや釣り人を見ることで見慣れている(≒警戒心が強くなる)と考えられます。とはいえ、釣り場(とくに手付かずの場所)やタイミングによってはエギに反応をしめすこともあり、潮の変わり目(潮止り・動き出し)やマズメどき夜間といったタイミングはねらい目です。



警戒心の高さから、たやすく反応してくれないことも多い「居着き」をねらうには、底付近にある藻やシモリなどの地形変化を中心に探ります。
カラーはナチュラル系をメインにローテーションするのがおススメ。アクションはワンパターンではなく、遅いテンポから速いテンポに変えてみたり、大きなアクションから小さなアクションにしてみたりと、違った動きを織り交ぜながら探りましょう。そうすることで、警戒心が強く「スレて」いるイカの食い気を刺激することができます。もし、チャンスのタイミングにまったく反応がないのであれば、そのポイントで粘らずに違うポイントへ移る、もしくは違う釣り場へ移動するほうが得策かもしれません。



(2)回遊

当記事での「回遊」とは、主に“エサを求めた行動”を指します。
たとえば、夜行性のアオリイカは日が落ちると漁港内や湾内などの浅瀬に回遊してきて捕食活動を始めます。そして、朝になると水深のある場所へと戻っていきます。また、大食いで成長速度(※)の早いイカは、ある程度成長すると天敵が減りエサが豊富な場所を求めて移動します。そんなことから、エサを求めて移動を繰り返す「回遊」タイプはエギに反応しやすく、比較的釣りやすいとされているのです。



エサを求めて移動する「回遊」をねらうには、どこで待ち構えるのかが重要です。潮流に乗って移動することが多いので、潮通しのよい場所や、朝夕のマズメであれば漁港や湾の入り口付近もねらい目です。
いずれにせよ、潮の流れや干満、エサとなるベイトの通り道などを意識し、回遊ルートとなりそうなポイントをねらいましょう! 回遊ルートにさえ当たれば釣れる可能性が高まります。そして、イカに見つけてもらえるようにエギを目立たせることも大事! 派手なカラーやアクション、場合によっては「ラトルモデル(=音がなるエギ)」も有効といえます。さらに、ねらう層は底だけでなく中層も探ってみましょう! ベイトのいる層を追いかけて同じ層を回遊しているかもしれませんよ。

※アオリイカの寿命は約1年(400日以上を生きた個体は発見されていない)といわれているにもかかわらず、春になると毎年3kgを超える大型の報告を耳にします。過去には5kgを超える超大型も釣りあげられています。短い寿命でありながらたくさんエサを食べ、ひじょうに効率よく栄養やエネルギーを吸収しているということでしょう



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2.場所に適した釣り方のチョイス
釣果はアプローチの結果!?



どの釣り場であっても、回遊してくる個体もいれば居着きの個体もいるでしょう。そして、人的プレッシャーや天候、水温などの影響を受け、その日の釣れやすさが毎日変わると思われます。実際に「昨日はよく釣れたのに!」と、よく耳にしたりもしますよね(笑)。

釣りはさまざまな要因が複合的に重なって、最後に釣果(=結果)という答えがかえってきます。イカの反応を見て、その日の一番適したアプローチに絞り込むことができれば、きっとよい釣果に繋がるでしょう。釣り方とはまさに、イカの好みを知ること、探し当てる術ではないでしょうか? イカにも好きな色、好きな動き、食事の時間、移動ルートetc…いろいろと事情があるはずですから(笑)。

これからご紹介する各釣り場にはそれぞれ特徴があり、適した釣り方があります。イカの反応を探りながら徐々に答えを絞り込みましょう。地域や季節により、必ずしも当てはまるとは言えませんが、ぜひご参考に。

 

(1)漁港・堤防


比較的、足場がよくて釣りもしやすいため代表的な人気釣り場です。
しかし、人気であるということは多くの釣り人が日々釣りをしており、競争率が高くなることや、人的プレッシャーにより居着きの個体であれば警戒している状態と考えられます。こういった人気の釣り場では、なかなか居着きを釣ることは難しいため、回遊ねらいで少しでも潮通しがよい場所や潮が変化しやすい場所で釣りをしましょう。
堤防であれば先端付近は潮通しがよく、L字になっている角であれば潮の変化も起こりやすいので、イカが回遊してきやすいポイントといえます。また、潮目が発見できればチャンスです。回遊してきた個体であれば、たとえ先行者が釣りをしていたあとにそのポイントに入ることになったとしても、釣れる可能性は十分にあるといえます。潮が動いていれば辛抱強く粘ってもよいでしょう。
一方で、まったく反応が得られないという場合は、回遊ルートではない可能性が高いので少し移動して反応を見てみましょう!



回遊ねらいの場合、とくに朝夕のマズメどきにみられるチャンスタイムに集中して釣りましょう。沖と浅瀬を群れで行き来するタイミングは、アオリイカの活性も高くねらい目です。しかし、タイミングはひじょうに短く、また限られています。ですので、できるだけキャストし探る時間を確保するため、カラーローテーションや場所移動といった時間は少なめに。釣果写真を撮るなどの時間は、結構もったいないですよ(笑)。
誘い方は先述した通り「目立たせる」ことを意識するのがよいでしょう。また、少ないチャンスをものにするためにも極力根掛かりを避けるのが得策。着底の頻度を減らすなど工夫が必要です。また、群れで回遊しているため連発の可能性もあります。できるだけエギが海中にあるトータル時間が多くなるように、釣りに専念しましょう!

漁港・堤防の注意点は、漁港であれば船が停泊しているところも多く、船を固定するためのロープなどがあるかもしれません。よく確認して引っかけないようにしてください。また、漁師さんや地元の方などの迷惑にならないように、駐車などのマナーをしっかりと守って釣りを楽しんでください。

(2)サーフ


サーフはまだまだエギングをしている人が少なく、竿抜けポイント(≒手付かずの釣り場)になっていることが多い釣り場です。居着きの個体も警戒心が低く、エギを抱いてきやすいため、イカがいればすぐにエギに反応してくれるはずです。
サーフの場合は居着きねらいでこちらからイカを探していきます。正面にキャストして反応がなければ、少し横に移動(10m程度)し、またキャストするといった繰り返し。ポイントを輪切りにしていくイメージで探ります。また、シモリや藻が発見できた場合は、ぜひねらってみてください。数投(4~5投)探ってみてまったく反応がなかったとしても、イカの警戒心が強いのではなく、たまたま捕食活動中ではなかったなど別の要因が考えられます。そのような場合はあまり気にせず、すぐに場所を移動すればよいでしょう。



サーフは比較的水深が浅い場所です。エギのなかには「シャロー」や「スーパーシャロー」といった、通常のエギよりもゆっくりと沈んでいくタイプがあります。ゆっくりと沈むエギを使用することで、水深の浅さから通常のエギではフォール時間があまり取れないような状況でも、じっくりとエギを抱かせる間を取ることができます。
また、通常タイプのエギであっても、エギをゆっくりと引っ張ることで沈下速度を遅くできます。これを「水平フォール」というのですが、浅瀬ではとても有効なテクニックのひとつです。



サーフでの注意点は、1つ目がロッドを立てた状態をキープすること。アタリを待つときにロッドを寝かせてしまうと、ティップ(竿先)から垂れた道糸が波打ち際で砂や砂利に擦れやすく道糸が傷ついてしまうので注意が必要です。 2つ目はエギを激しく動かさないこと。水深の浅いエリアで激しく動かすと海面からエギが飛び出してしまいます。場合によっては自分に向かって飛んでくることも…。危険ですので気を付けましょう!

【水平フォールを身につけよう!】
着底後にエギを数回シャクって浮かせたあと、一定の力でゆっくりとロッドを動かしエギを引っ張ってみてください。ロッドを動かさずにアタリを待つよりも、ゆっくりと動かすことでアタリが分かりやすくなります。「水平フォール」というテクニックなのですが、アタリだけでなく着底も分かりやすくなる方法です。
(3)磯(地磯)


足場の悪さや釣りのしづらさから釣り人が少なく、地形的に身を隠せる場所が多くエサとなる小魚も集まりやすいことからイカの警戒心が薄れる場所。磯は1級の釣り場です。
豊富な地形の変化に身を潜めながら、居着きのイカは小魚が泳いでくるのをねらっています。そのためエギを見つければ、すぐにでも反応してくれると思います。しかし、足場の悪さや根掛かりのしやすさから、ほかの釣り場と比べて経験者向けの釣り場でもあります。



釣り方は、足場が悪いためサーフのように輪切りにするように探ることは難しいでしょう。なので、釣りのポジションを決めたのち、自分を起点に扇状になるように探ってみましょう。反応がない場合はカラーローテーションやアクションのテンポ(速い・ゆっくりなど)を変えるなどして再度探ってみてください。もし反応が得られないときは、サーフと同様に捕食活動中ではないなどの別の要因が考えられます。時間をおくことで状況が大きく変化することもありますので、「釣り場や身体を休める」「違うポイントを釣る」など、磯の上での過ごし方にも工夫してみましょう。
また、多くの磯は海中が地形変化(かけ下がり、シモリ、藻など)に富んでいます。地形の変化が豊富ということは根掛かりや根ズレを起こしやすいので、こまめにリーダーをチェックし傷がないか確認したり、(慣れれば)底から少し浮かせたタナ(中層)を探ることでエギのロストを減らせます。シャクリの回数を増やすだけでも底取りの頻度が減り、根掛かりする確率も下がると思いますよ。



地磯の注意点は、潮位の差で干潮時には干上がって歩けた場所が満潮になると沈んでしまう場所もあることです。干満の差には十分に注意が必要です。また、満潮時に沈んでいた場所は足場が悪く滑りやすくもなっているので、最低限の知識がないと歩くことも難しく、経験者に同行するのがおススメです。磯靴などの最低限必要となる道具をそろえる必要もあります。

【根掛り軽減!? ワンポイントアドバイス】
シャクリをいれるとエギは頭を上げて跳ね上がろうとします。そのときエギの後方が下がり、エギが着底していれば海底に勢いよくカンナが接触することで根掛かりしやすくなります。着底中のエギをいきなりシャクルのではなく、優しくロッドでエギを引き底から少し浮かせた状態からシャクリ始めると、多少根掛かりが軽減されます。
また、シャロータイプなどのゆっくり沈むタイプであれば着底の勢いが弱いため、ストンっと着底するよりも根掛かりしにくいようです。地形変化に富んだ磯での根掛かり対策のひとつとして試してみてください。

(4)沖堤防・沖磯・イカダなど


船(渡船)を利用した釣り場は比較的潮通しがよく、水深がある場所も多いので、地磯以上にねらう幅が広がる釣り場です。さらに、渡船を利用するメリットを活かして、釣果情報だけでなくヒットエギなどの情報を船長から直接聞くことで、釣果アップも見込めます。
地続きの場所と比較して1日に釣りができる人数や時間も限られているため、居着きのイカも警戒心が高くなりにくいと考えられます。また沖に出ている分、潮がぶつかる沖堤防・沖磯・イカダなどが変化そのもの! 新たなイカが回遊し集まりやすい場所でもあります。ここでの釣り方は、船長に聞くのが一番ではないでしょうか(笑)。



先述したとおり事前に最新の状況をしっかりと聞いておきましょう。「どこをねらってキャストすればよいのか?」「どの時間がチャンスタイムか?」「釣れているカラーは?」など、船長だからこそ知っている情報を確認しておくのは大切です。まずは、アドバイス通りに釣りをするとよいと思います。
それでも反応を得られなければ、ほかの場所と同様に自分なりの攻め方を模索しましょう。潮目はねらい目ですし、シモリや藻などの変化にはイカがついているかもしれません。限られた場所での釣りになるため、イカに飽きさせないようにカラーローテーションやアクションのテンポ(速い・ゆっくりなど)を変えたり、底~中層までとタナも幅広く探るのもよいと思います。同じことを続けるよりは、いろいろと試して絞り込みましょう!



また、沖の釣り場では地域や季節にもよりますが、大型漁の回遊が多い場合があります。大型魚が近くを回遊すると、それまで積極的にエサを求めて泳ぎまわっていたアオリイカも警戒してしまい、身を潜めてしまいます。そのようなときは、底の地形変化をゆっくりとしたテンポであまりエギを浮かせず探ってみてください。アオリイカは警戒しつつも、身を隠しながら捕食のタイミングを伺っているはずです。場合によっては着底のまま待つ(ステイする)のも効果的です。



沖にでる際の注意点は、短い時間である渡船利用であっても(船に弱い方は)船酔い対策はしておいた方がよいということ。そして、沖の釣り場に渡ってしまえば戻りたくても戻れませんので、それなりの準備が必要ということです。
海に囲まれ日陰すらない場所がほとんどですので、お弁当の保管や飲料水の確保、ケガや防寒、熱中症への備えは意識しておきましょう。何かあった際、船長に連絡を入れればもちろん迎えに来てくれますが、時間は掛かります。不意な状況に備え、自分なりの救急セットがあると安心です。

今回の重要ワンポイント

●「居着き」と「回遊」を意識して釣ろう!●釣り方とはイカの好みを探る方法!●釣り場の特徴を知り、適した釣り方をチョイス!

 



9回目の今回は、場所別の釣り方をご紹介しました。釣り場の特徴を知ることも重要ですが、釣り場に適した釣り方を上手くチョイスすることで、よりよい釣果につながると思います。
釣り場の特徴は何度も足を運べば見えてきます。しかし、イカの行動はどれだけ釣りをしても、分からない日はまったくわかりません…(笑)。それでも、経験値を高めて地形を読み、少しでもイカの気持ちが分かるようになれば、釣れない日の頻度は減らせると思いますよ。

さて次回は「シチュエーション別の釣り方」についてです。連載もそろそろ終盤。具体的で細かい内容になってきますが、ぜひ引き続き「今から知りたい!エギング STEP UP」にお付き合いくださいね!