4月下旬、早朝。

13名のマゴチフリークを乗せた第十新明丸は、ゆっくりと鶴見川を下る。

新明慶樹船長は、横浜ベイブリッジをくぐると西へと舵を切った。

「ここんとこ、海堡周りより富岡沖のほうが調子がいいんですよ」隣に座る常連客の三田さんが、そう教えてくれた。

そして40分ほどの航程でポイントに到着すると、たしかにそんな展開になった。

「はい、いいですよ。水深は約20mです」

船長のアナウンスが終わらないうちに、12個の仕掛けが下ろされる。

するとその直後、三田さんが力強く合わせた。

半月状に曲がり込む竿を、まるで折ろうとするかのような魚の暴れっぷり。

これに対抗する三田さんは、無理せずゆっくりリールを巻く。

船長にタモ取りされたのは、50cmオーバーのマゴチだ。

いきなりの良型登場に驚いていると、左トモの山田さんにも40cmオーバー。

続いて舳先でワームをキャストしていた海老原さんにもマゴチ。

三田さんが怒涛の4連発を見せると、山田さんも2本目を釣り上げた。

その後もアタリが止まらない。

右ミヨシ2番の浜村さんが45cmを釣ると、左胴の間の岡本さん、右トモ2番の手島さん、右胴の間の大野さんと続く。

ここまでおおむね1時間。

マゴチ釣りが大好きな私は、このあたりで我慢の限界を超える。

仕掛けを下ろしてタナを合わせると、コツンと早くもアタリ。

そっと竿先を下げながら送り込む。

コツコツ、コツコツ。

まだ合わせるには早い。

ドキドキしながらジッと我慢していると、グイッと竿先が持っていかれた。

今だ!ありったけの力で合わせると、ギシッと竿が悲鳴を上げた。

アタリから合わせるまでの駆け引きを制したあとは、引きの強さを誇る暴れん坊との格闘。

これぞまさしくマゴチ釣り。

最高に楽しい瞬間だ。

三田さんが差し出してくれたタモに収まったこのマゴチも40cmオーバーだった。

釣り場は富岡沖の水深10~20m付近。

無理せずゆっくり巻き上げる。

頻繁なタナの取り直しが吉

三田さんが1kg級のヒラメを釣り上げ、その撮影中にわれに返る。

今日は取材なのだ。

未練たっぷりで、再び釣り座を離れる。

カメラを手に船中を回り始めると、左胴の間の岡本さんが53cmの良型を釣る。

この撮影を終え反対舷に回ると、右トモの西野さんがマゴチと格闘中だ。

女子大生の西野さんは大の釣り好きで、この日も単独釣行。

すでに釣り歴は10年ほどで、今ハマっている釣り物がマゴチだという。

数日前に60cmオーバーを釣ったというから、なかなかの猛者とお見受けした。

再び釣り座に戻り、私も2本目のマゴチを釣る。

この2本目は、着底直後にアタリがきた1本目とは異なり、意図した方法でアタリを出させた会心の1本だ。

サイマキ=生きエビは、イワシや小アジなど自ら泳ぎ回る小魚と違って、それほど活発に動かない。

なので、タナに合わせたあとジッと待ち続けているだけでは、サイマキが長い休憩時間を過ごすことになってしまう。

そこで、しつこいくらい頻繁にタナの取り直しをすることで、サイマキを刺激してできるだけ動かしてやる。

これは、ハリに付けたサイマキをオケに入れ、仕掛けをちょこんと引っ張ってみると、サイマキが足を動かす様子が見られるので簡単にイメージできる。

マゴチは海底にへばりついている魚だが、ヒラメのように宙層に浮いているエサに飛びつくケースは少ないと言われている。

さらに、ポイントは必ずしも平たんではないので、マゴチの眼前となる底付近に生きエサをキープするためにも、頻繁なタナの取り直しが必要になる。

こんな考え方で釣った2本目だった。

(左)船宿仕掛けはハリス6号1.7m、オモリ15号。(右)マゴチ釣りはエサ付けが肝心。

(左)左胴の間で53cmの良型を交えて3本上げた岡本さん。(右)大学生の西野さんはマゴチ釣りの大ファン。

(広告の後にも続きます)

デカイのきたぞ!

船長が慌ただしく舳先に駆けつける。

見ると、海老原さんのロッドが大きく曲がり込んでいる。

必死の形相でスピニングリールを巻く海老原さん。

タモを手に、海面を凝視する船長。

派手な水しぶきを上げて海面に現れたマゴチを、船長が絶妙なタイミングですくい上げる。

ドサッ!と重量感のある音を立てて足元に下ろされた。

「デカイ!」

周囲から声が上がったこのマゴチは船中最大61.5cm。

海老原さんは両手を強く握りしめて、歓喜のポーズを見せた。

その後もポツリポツリとマゴチが釣れ、15時に沖揚がりを迎える。

この日の釣果は船中31本、一人0~8本でトップは三田さん。

サイズは38~61.5cmで、食べごろサイズの40cm級が主体だった。

「今日も水深10~20mのところでやりましたけど、これからさらに浅場になっていきます。アタリもより分かりやすくなりますし、マゴチ自体も活発になってきますから、もっともっと数釣りが楽しめるようになります」

鶴見川に向けて船を走らせながら、船長はそう話してくれた。

東京湾のマゴチは、いよいよ浅場で釣れ盛るトップシーズンに突入する。

こうご期待!

8本でトップの三田さん。

竿を立てて魚を海面へ浮かしてタモですくってもらう。

当日最大61.5cmをルアーで釣り上げた海老原さん。 ジグヘッド40g+4~5inのソフトルアーを使用。

(左)マゴチ初挑戦で4本釣った手島さん。(右)初心者はまずは1本を目標に。