なんで販売終了しちゃったの!? シリーズの最後を飾った超絶イケてる高性能車3選

1980年代から1990年代にかけて、若い走り好きから高性能車が絶大な支持を得ていたことから、各メーカーは多くのモデルにスポーティなグレードを設定していました。しかし、ニーズの変化や法改正もあって2000年代になるとスポーティグレードは減少し、現行モデルではわずかに残っている程度です。そこで、シリーズの最後を飾ったハイスペックモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

シリーズの途中で消えた高性能グレードを振り返る

 国内メーカーの現行モデルを見てみるとスポーツカーは健在ですが、高性能グレードを設定するクルマは数少なくなってしまいました。

 一般的に1台のクルマには複数のグレードが展開され、ユーザーは使用状況や目的によって選ぶことができます。

 そうしたグレードには走りの性能にこだわったハイスペックなモデルもあり、1980年代から1990年代には隆盛を極めていました。

 しかし、ニーズの変化や、燃費規制もしくは排出ガス規制の強化などのタイミングで減少傾向になり、2000年代以降は次々に姿を消し、前述のとおり現行モデルではわずかです。

 そこで、シリーズの最後を飾ったハイスペックモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ2代目「アコード ユーロR」

 ホンダの高性能グレードというと「タイプR」シリーズが真っ先に挙げられますが、サーキット走行を視野に入れて開発されたことから、日常での普段使いには厳しいほど硬いサスペンションや騒音といったネガティブな要素もあり、ユーザーは限られていました。

 そこで開発されたのが、2000年に登場した初代「アコード ユーロR」です。ユーロRはタイプRシリーズほど過激なチューニングではなく、普段使いにも適した高性能グレードで、たちまち人気を獲得しました。

 この人気を背景に2002年には、7代目アコードをベースとした2代目ユーロRが発売されました。

 エンジンは最高出力220馬力を誇る2リッター直列4気筒DOHC i-VTECエンジンを搭載し、トランスミッションは6速MTのみとスポーティな走りを重視。

 外観はタイプRよりも派手さを抑えたエアロパーツによってドレスアップされ、内装ではレカロ製シート、MOMO製ステアリング、アルミ製シフトノブを採用してレーシーな雰囲気を演出していました。

 足まわりは乗り心地を犠牲にしないレベルで強化され、高い走行安定性とコーナリング性能を実現し、5名乗車で普段使いにも最適な高性能セダンというキャラクターに仕立てられました。

 2代目ユーロRも人気を獲得しましたが、2008年に8代目アコードの登場によって廃止され、以降の国内モデルでは高性能グレードは設定されず、現在に至ります。

●スバル5代目「レガシィB4 2.0GT DIT」

 スバルは1989年に、次世代型セダン/ステーションワゴンとして初代「レガシィ」を発売。トップグレードはパワフルな水平対向4気筒ターボエンジンとフルタイム4WDの組み合わせ、高性能セダン/ステーションワゴン市場をけん引した存在でした。

 その後、初代のコンセプトを継承しながら代を重ね、2009年には5代目が登場。北米市場をメインターゲットとしたことからボディが大型化し、プレミアムなセダンへと変貌を遂げました。

 一方で、歴代レガシィと同じくターボエンジンを搭載した高性能グレードも設定され、2012年にはシリーズ最強の最高出力300馬力を発揮する2リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジンを搭載した、「2.0GT DIT」が加わりました。

 トランスミッションは高出力に対応したリニアトロニック(CVT)を採用し、駆動方式はフルタイム4WDで、路面状況によって走行モードが選択可能な「SI-DRIVE」を標準装備。

 足まわりではスバルの高性能車では伝統となるビルシュタイン製ダンパーが装着されるなど、ハイパワーなエンジンに見合う優れた運動性能を実現しました。

 しかし、2014年に発売された6代目の国内仕様では、エンジンは175馬力の2.5リッターの自然吸気に一本化され、レガシィの代名詞であるターボエンジン車が消滅。

 その6代目も2020年で国内販売を終了し、現行モデルでは「レガシィ アウトバック」のみとなってしまいました。

●スズキ5代目「アルトワークス」

 日本の自動車市場では、1980年代に大きな転換期を迎え、クルマの性能があらゆる面で向上しました。

 とくに顕著だったのはエンジンの出力で、その立役者だったのがターボエンジンの普及でした。ターボによって国産車の高性能化が一気に加速し、やがてメーカー間のパワー競争にまで発展したほどです。

 このパワー競争は軽自動車市場にも飛び火し、スズキは1987年に究極の高性能軽自動車である初代「アルトワークス」を発売しました。

 搭載された550cc直列3気筒DOHCターボエンジンは最高出力64馬力を発揮し、これが出力自主規制の上限となり、軽自動車においてパワー競争に終止符が打たれました。

 その後、アルトワークスは進化を続けましたが2000年をもって一旦は消滅。2015年に5代目アルトワークスとして復活を果たしています。

 5代目のエンジンの最高出力は上限の64馬力ですが、トルクの向上とアクセルレスポンスを高めるために専用のターボチャージャーが装着されました。

 トランスミッションは5速MTと、シングルクラッチの5速AMTでパドルシフトを備えた「5AGS(オートギアシフト)」を設定し、駆動方式はFFの2WDとアルトワークス伝統のフルタイム4WDが選べました。

 また、スズキの軽量化技術が惜しみなく投入され、わずか670kg(5速MT、2WD)という軽量なボディを実現し、加速性能は軽自動車のなかでもトップクラスに君臨。

 さらに、軽量なボディに専用チューニングされたサスペンションやブレーキが相まって、高い旋回性能を発揮しました。

 しかし、2021年12月に現行モデルの9代目アルトが発売されるとアルトワークスは再び廃止となってしまいました。

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 冒頭にあるとおり高性能なクルマは今も健在ですが、高額なモデルが主流になってしまいました。

 そのため、若い世代のクルマ好きが手軽に入手できる高性能車は、ほとんどないのが現状です。

 とはいえ、そもそもニーズがないという昨今の状況を踏まえると、ある意味仕方がないことなのかもしれません。