目の前で希少なスポーツカーが盗難される様子が映った防犯カメラの映像を、インターネットやテレビで観た経験がある人も多いのではないでしょうか。近年、車両盗難があとを絶ちません。中古車市場で高額取引されている車をターゲットに、転売で利益を得るべく盗んだ車両を悪用するケースがあるようです。

いったい誰が、何の目的で車両盗難をしているのでしょうか。

盗難車が海外で分解されて転売されることも

@Tomasz Zajda/stock.adobe.com

インターネットでは「車両盗難の悪事を働いているのは外国人」という声が散見されますが、実際に海外へ密輸される盗難車も多いようです。

盗み出した高級車やレアなスポーツカーを、窃盗グループはコネクションによって取引しているとされています。中東やヨーロッパ、アメリカなどへ密輸し、転売して利益を得るという仕組みとなっているそうです。国内で犯罪事件を起こす際に逃走車両として使われるケースも多々存在します。

さらに、パーツごとに分解されて転売されているケースもあるようです。

近年では、税関の目をかいくぐるため、車両に装着されているパーツを分解して転売する手段も使われているとのこと。高級車ならカーナビ、スポーツカーならブランド品のアルミホイールやブレーキパッド、サスペンションなどが狙われやすいとされています。

警察の捜索や税関によるチェックをすり抜けるため、パーツを分解してから密輸し、逃げ切ろうとしているのです。

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国内でも盗難車が分解され、パーツが出回ることも

画像提供:@Goodbye_LX570 様

車の盗難をしているのは外国人だけに限りません。日本人でも犯罪にかかわっているケースもあります。

Twitterにて、愛車が盗難の被害に遭ってしまった、高級SUVのオーナーさんに話を伺いました。

「犯人は日本人でした。2時間カーチェイスからの車は大破、所持品から注射器や覚醒剤が出てきて本当にカオスな状況でした。窃盗グループだったようで、(犯人以外にも)数人が追加で捕まりました。」

このオーナーさんは、盗難被害に遭う前、窃盗グループが盗難車を下見に来ていた情報を警察へ情報提供していたそうです。下見用に使っていた車が偽造ナンバーだったため、指名手配を受けていたとのこと。

迅速な対応で犯人は逮捕されたそうですが、愛車は覆面パトカーとのカーチェイスの末、廃車となってしまったそうです。

昨今の情勢から、車両を盗み出したとしても海外への密輸が難しくなっています。しかし盗難車は早めに取引を行わないと警察に摘発される可能性があるため、窃盗グループは早めに次の手を打たなければならないと考えているようです。

そこで、盗難した車を分解し、国内のネットオークションでパーツ別に出品する荒業を行う手段が横行しているとのこと。盗難から数日で解体まで推し進め、元のオーナーや警察が捜索をしにくくなるよう証拠隠滅まで進めているのが実情です。

SNS上では車が盗難されている報告が繰り返されている中、窃盗グループは外国人だけでなく日本人である可能性は十分高いでしょう。