不安定な世界情勢から、近年は防弾仕様車の需要が高まっています。

比較的治安の良い日本であっても、乗車中を狙った襲撃事件は発生しており、要職に就く方の移動に防弾車は必須といえるでしょう。

日本ではあまり知られていない、防弾仕様車の構造や購入方法はどうなっているのでしょうか。

防弾仕様車の需要が高まっている

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頑丈に思える自動車のボディも、銃火器を前にしては紙も同然です。そのため、国家の要人や大企業経営者、映画俳優やスポーツ選手などの移動には、誘拐や襲撃から身を守るための防弾車が欠かせません。

比較的治安の良い日本では馴染みが薄いものの、メキシコ、ベネズエラ、南アフリカ共和国など、海外の治安が悪い都市ではもっと身近な存在であり、防弾車でなければ安心して車の移動ができないほどです。

キャデラック プレジデンシャルリムジン(2009年)

例えば、「ビースト」の愛称で呼ばれるアメリカ大統領が移動に使うキャデラックも、もちろん防弾仕様。現在の内閣総理大臣専用車であるレクサス LS600hLや、皇室が使う御料車のトヨタ センチュリーも防弾仕様に改装されています。

防弾車の需要は1963年のケネディ大統領暗殺以降一気に高まり、近年もテロリストの暗躍やマフィアの抗争などの治安悪化で世界的に需要が増加傾向にあります。

それにより、古くから自社で防弾仕様車を製造・販売していたメルセデス・ベンツやBMW、ロールスロイスやジャガーに加え、近年はアウディやボルボまでもが自社の車をベースとした防弾仕様のラインナップを拡大しています。

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普通の車となにが違う? 防弾車の中身とは

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「銃弾を弾く」などと形容されるものの、防弾車は頑丈なボディで銃弾を弾くわけではありません。

防弾車はドア内やボディの内側に、強固な特殊鋼板や防弾チョッキにも用いられるケブラーやアラミド繊維の複合材などを隙間なく仕込み、銃弾がもつ運動エネルギーを吸収することで、銃弾や爆弾の破片が車内まで届かないようにする構造です。

もっとも弱い箇所である窓ガラスも同様に、ガラスとポリカーボネートが多重に積層された厚さ5cm以上にもなる防弾ガラスで銃弾を受け止めます。

そのほか燃料タンク保護や燃料の流出を防ぐ機能が持たされるうえ、車のアキレス腱ともいえるタイヤは、撃たれて空気が抜けても構造体のみで車重を支えて走れるランフラットタイヤが装着されます。

重い防弾ガラスを開閉するためにパワーウィンドウのモーターの強化も必要であり、重くなったドアを支えるヒンジも強化され、軽く操作できるように開閉補助機構が備わる車もあります。

また、万が一の車両火災に対して作動する消化システムや、煙や毒ガスから守る消化装備や強制換気装置に加え、サイレン、回転灯、トランシーバーなど非常装備も搭載される場合があります。

このような装備により、車重は市販車と比べ物にならないほど重くなるため、相応のトルクがある大型のエンジンを搭載した車でなければ走らせることもままなりません。もちろん重くなった車を支えるサスペンションも強化されています。

さらにメルセデス・ベンツの防弾車の価格には、恐ろしく重い車を安全に運転するためのトレーニング費用も含まれているそうです。

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