スマートフォンの地図アプリは使い勝手がよく、車を運転する際のカーナビゲーションとして活用している人も多いのではないでしょうか。

スマートフォンを運転席から見やすい位置に取り付ける際に便利なのが「スマホホルダー」です。しかし、取り付ける位置によっては違反になる可能性があると言います。

フロントガラスに取り付けると違反になる可能性大!

©Tomasz Zajda/stock.adobe.com

スマホホルダーは、吸盤や両面テープでフロントガラスやダッシュボードに取り付けるタイプや、エアコンの吹き出し口に挟んで取り付けるタイプなどがあります。

特に、フロントガラスに取り付けて使うタイプのスマホホルダーは注意が必要、そう話すのは筆者がかつて業務の一環として参加した、近年増加している違反や事故などを解説してくれる交通安全運転講習会の講師でした。

「スマホホルダーをフロントガラスに吸盤などで取り付けてしまうと、違反になる可能性があるので注意してください。

そもそも、フロントガラスに取り付けて良いものは、車検の有効期限などを記載した車検証シールやルームミラー、ドライブレコーダー、車間距離を計測するレーダー装置などと決められています。

さらに、道路車両運送法における、道路運送車両の保安基準(2022年4月8日現在)には、「ガラス開口部の実長の20%以内の範囲又は前面ガラスの下縁であって車両中心面と平行な面上のガラス開口部から150mm以内の範囲に貼り付けられた場合」は問題ないとしています。

つまり、フロントガラスの上から20%よりも下の位置に、フロントガラスの一番下から150mmよりも上の位置に取り付けるのは、車検証シールであっても禁止されているということです。

当然、スマホホルダーなどを取り付けることははじめから想定していませんので、上記の範囲内であっても、違反になってしまう可能性が高いと言えるでしょう。

検問があったらその場で外すようにしよう

フロントガラスにスマホホルダーなどを取り付けていた場合、どのような違反になってしまうのか、警視庁 成城警察署の担当者に聞きました。

「道路交通法という観点から言えば、安全運転義務違反(普通車:反則金9,000円/違反点数2点)になる可能性があります。実際、自動車検問などを実施し、フロントガラスにスマホホルダーを取り付けている車両は多く見受けられます。

吸盤などで簡易的に取り付けられている場合には、その場で外して運転に支障のない場所へ取り付けるように指導しています。中には、その場で取り外すことを拒むドライバーもいますが、視界が悪くなるということを丁寧に説得すれば取り外しに応じてくれることがほとんどです。

もし、それでも対応いただけないとなると、あくまでも仮定の話にはなりますが、警察官現場指示違反(普通車:反則金なし/違反点数2点)になる可能性も否定できません。

また、スマホホルダーによる視界不良が原因で事故を起こした場合、そのことが直接の原因でなくても交差点安全進行義務違反(普通車:反則金9,000円/違反点数2点)に問われる可能性があることも否定できません。」

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高さ1mの障害物は必ず視認できるように

さらに、フロントガラス以外にスマホホルダーを取り付けていても注意が必要だと前述の担当者は言います。

「ダッシュボードやエアコンの送風口にスマホホルダーを取り付けているドライバーは多いと思います。

そのうち、前方の視界を遮るような形で取り付けられているスマホホルダーはかなり多いというのが現状です。そのような場合も取り外すように指導しています。」

道路車両運送法を詳しく調べてみると、「乗用車等の運転者の視界基準」の「前方視界基準」には、「自動車の前方2mにある高さ1m、直径0.3mの円柱(6歳児を模したもの)を鏡等を用いず直接視認できること。」という記述があります。

ドライバーが視界良好だと思った位置にスマホホルダーを取り付けていたとしても、2m先にある高さ1mの看板や柵などの障害物が見えていなかったとしたら違反に問われる可能性があります。

スマホの見やすさだけではなく、前方の道路状況や景色の見やすさを最優先に考えた上でスマホホルダーの取り付け位置を考えましょう。

さらに、スマホを手に持って運転していなくても、ホルダーに取り付けられたスマホを見続ければ、携帯電話使用(保持)違反(普通車:反則金6,000円/違反点数1点)になることは間違いないと前述の担当者は言います。

スマホもナビも、画面を注視するクセがある人は、十分注意しましょう。

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