回生ブレーキとは?

発電と減速の両方をこなすブレーキ

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回生ブレーキは駆動モーターの軸回転を利用して走行中に発電及び減速(制動)を行う仕組みです。自動車の分野では、ハイブリッド車や電気自動車などに採用されています。

ブレーキといえばブレーキパッドとブレーキディスクを摩擦させて減速させるもの、いわゆる摩擦ブレーキを思い浮かべますが、回生ブレーキは摩擦ブレーキとの組み合わせで使用されています。

つまりハイブリッドカーや電気自動車といった車両は摩擦ブレーキと回生ブレーキの両方を備えていることになり、モーター回転軸の抵抗がブレーキとして機能します。

回生 = regenerate(再充電)

回生ブレーキの英語表現は Regenerative brakeとなっています。「再び(電気を)生み出すブレーキ」というわけで、減速よりも発電(つまり節電)に重きが置かれたものと考えて良いでしょう。

エンジンのみの車両には無い

回生ブレーキはハイブリッドカーやEV特有のもので、エンジンのみを搭載している従来的な車両には搭載されていません。

以下に続く回生ブレーキの仕組みや構造をお読みいただくと理解できるかと思いますが、回生ブレーキは駆動モーターがある前提の機能であることが理由と言えます。

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回生ブレーキの仕組み

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回生ブレーキがはたらく過程

回生ブレーキが機能する仕組みをまとめると次のようになります。

  1. ブレーキ(減速)に反応して電気モーターがジェネレーターモードになる。
  2. タイヤ(ホイール)が回転してジェネレーターを動かし、交流電圧が生み出される
  3. モーターの交流電圧がインバータによって直流電圧に変更される
  4. この直流電圧が蓄電池(バッテリー)へ送られ蓄電される

これらの過程の理解を深めるために、ここでは最低限抑えておきたい要素を解説します。

インバータの役割

インバータが必要な理由は、バッテリーの直流電圧をそのまま交流電圧のモーターに使用できない点にありますが、もう1歩踏み込むとモーターの回転数やトルクを細かく調整するために必要不可欠ということです。

インバータをモーターに組み合わせることでモーターの電気の周波数を制御できるようになります。周波数を制御できるようになると、先に書いた通りモーター回転数・トルクを制御できるようになり、車両のアクセルペダル操作で加速したりゆっくり走ったりできるわけです。

ジェネレーター(モータージェネレーター)の役割

ジェネレーターは発電機のことです。ハイブリッド車や電気自動車に搭載され、モーターと共に使われているジェネレーターはモータージェネレーターと呼ばれています。

モータージェネレーターは回生ブレーキ時に機械的エネルギー(タイヤの回転やパワートレインの回転など)を電気エネルギーへ変換するほか、加速時のエンジンアシストも行います。

発電するという意味ではオルタネーターを思い浮かべる人もいることでしょう。オルタネーターとジェネレーターのどちらも自動車をはじめとするさまざまな乗り物に使用されていますが、オルタネーターは電流を生み出すために電磁誘導を利用している点でジェネレーターと異なります。