生産台数が少ない車の中でも、「1桁」となると、販売価格が億単位のハイパーカーを除けば、そう多くはありません。
一般人でも購入可能なのはごく稀に設定される本当に希少な特別仕様車か、あるいはそもそも一般販売を行わない特殊用途の車、レーシングカーで規則上やむをえず1台きりでも公道用のロードゴーイングモデルを作った場合などに限られます。
今回はそんな中から、国産の1桁生産車で代表的なものを3台紹介しましょう。
日産 プリンスロイヤル(1967・5台)
宮内省御用達のプリンスによる渾身の力作、6.4L V8エンジンの元祖国産御料車

日産 プリンスロイヤル
現在はセンチュリーをベースとした、「センチュリーロイヤル」が使われている宮内庁の皇室向け御料車ですが、以前は日産のプリンスロイヤルが長年使われていました。
もっとも、日産と言いつつ開発したのはプリンスでした。プリンスセダンや皇太子時代の上皇陛下も愛用したスカイラインやグロリアなど、宮内庁御用達だったプリンスに御料車開発で白羽の矢がたち、5台の御料車が生産されています。
3代目グロリアと似たデザインの縦目のセダンですが、全長6m、全幅2.1m、車重3.6t以上の巨体で、それを動かすV8 6.4Lエンジンも国産乗用車史上最大にしてプリンスロイヤル専用と、何もかも規格外の特別な車でした。
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NISMO GT-R LM(1995・1台)
規則で日産車を名乗れなかった、スカイラインGT-R唯一のNISMO車

歴代スカイラインGT-Rのグレードや特別仕様車の中でも、とびっきり特殊なのがNISMO GT-R LMで、生産台数は1台こっきりの非売品。
1995・1996年のル・マン24時間レースで、LMGT1クラス参戦のため開発しましたが、「4ドアがある車はベース車として不可」という規則に日産 スカイラインがベースでは適合せず。NISMO GT-R LMを1台だけ作ってベース車にしています。
そこまでして挑んだル・マンでしたが、「GT-Rだけパドックの壁越しにルーフが見える」という、市販乗用車ベースの限界もあってマクラーレンF1やポルシェ911 GT1に全く刃が立たず、本格GTカーR390の開発が急がれました。