車は、目標販売台数の大小を問わず、メーカーと部品のサプライヤー、販売会社、ユーザーなど、その車に関わる全ての人にとって幸せをもたらすような存在であってほしいと、期待されて世に出され、販売終了までの日々を過ごします。

しかし、メーカーの経営悪化や市場動向を読み誤った事で、長期にわたり放置に近い扱いを受ける車もあります。中には単なるメーカーの都合だけで「それはあまりにも…」と不遇な扱いを受けるケースもあります。今回はそんな車を3台、集めてみました。

スズキ セルボ(歴代全て)

結局、スズキにとってセルボとは何だったのか?

3代目セルボのガラスルーフは今見ても秀逸だが、フロントは旧型アルトのままなのが惜しすぎた

初代は硬派スポーツの名車フロンテクーペが基本。女性向けパーソナルクーペとしては無理があり、2代目でFF化とターボで持ち直すも、スポーツ系の座をアルトワークスに奪われた3代目は、ガラスルーフなど磨けば光る素材なのに660cc化されず。わずか2年半で廃止となりました。

4代目セルボモードはスズキ軽唯一の4気筒エンジンがMTのみ。上級車なのに4ATはほとんどなし。モデルチェンジも新型K6Aエンジン搭載もないまま新規格へ移行せず廃止。2006年に復活した5代目も走りを重視と言いつつMTはありません。

歴代全て、発売したはいいもののコンセプトを十分に活かせず扱いに困ったようで、冷遇ぶりが目立つ軽スペシャリティカーでした。

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スズキ キザシ

日本車史上、もっとも悲劇的な車として記憶されるべき

「伝説の日本車」として、これからも語り継がれるであろうキザシ

何度かコンセプトカーとして出展後、2009年に突然発売して業界を驚かせた車。その直後、主要市場として想定した北米から撤退したため存在意義を失い、他の国でも全て中途半端なセールスに終わりました。

特に日本では警察に投げ売りされたと噂され、実際に警察用車両以外で見かける機会は稀と言われ、「一体何のために発売したのか」と誰もが首を傾げます。

数少ないオーナーによれば運転しやすく品質も高評価でした。明確な販売戦略のもとグレードや派生車を増やしていけば、プレミアムコンパクト路線を推し進めていたスズキのフラッグシップとして成長する余地は大いにあったと、冷遇ぶりが惜しまれる車です。