全損時に支払われる保険金はどのくらい?

全損した時に支払われる保険金は、任意自動車保険の契約内容や、全損時の交通事故の内容によって異なります。

単独事故の場合

車両が単独事故によって全損した場合、契約時に設定した保険金額が満額で支払われます。

例えば、契約時に決めた保険金額が70万円で、修理費用の見積もりが100万円と提示されたため全損にしようと決めた場合、保険金の70万円が契約者へ支払われ、その車両の所有権は保険会社へ移ることになります。

ただし、先にも紹介したようにエコノミータイプの車両保険は一部条件下で補償を行われませんので、その点は理解しておきましょう。

他の自動車やバイクなどとの交通事故の場合

他の自動車やバイクなどが絡んで発生した交通事故で全損した場合、当該交通事故の過失割合に沿って保険金が支払われることになります。

ざっくり計算すると、例えば自動車同士の事故で全損となり、その事故の過失割合が4(自分) : 6(相手)で車両保険が70万円だとすると、自身の保険会社が28万円を補償して42万円を相手保険会社が支払うことになります。

少し厄介なのが自身に過失割合が無い交通事故で全損した場合です。

この時、相手保険会社がその車両の時価額を提示してくるのですが、車両保険の上限より安く提示されることが多く、オーナーの泣き寝入りになるケースが多いです。

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全損車を修理できる?

全損として保険金を受け取ればそれを資金に新たに車両を購入できますが、人によっては全損にせずにそのまま修理して乗りたいと感じる人もいるでしょう。ここでポイントになるのは、どのタイプの全損に該当するのかということです。

先で紹介した通り全損の定義は様々で、全損車によって修理できる場合とできない場合があります。

例えば、修理費用が車両保険の上限を超えたことを理由に全損とする場合。保険金の受け取りと引き換えに、自身が持つ車両の所有権は保険会社へ移行されるため、車を修理して乗り続けることはできません。

©Marina Gordejeva/stock.adobe.com

しかしこの理屈で行けば、修理代の見積もりが車両保険の上限を超えたとしても、車両保険を使わずに実費で直せば問題ないことになります。

また、車両盗難で車両が手元に戻ってこなかった場合も修理不可です。

ただし、車両の一部のパーツが盗まれた場合、例えばホイールやステアリングホイールの盗難被害に遭った場合には「全損」にはあたらないため、車両保険の補償対象となります。

保険を使って修理すると等級が下がる点にも注意

基本的に車両保険を使った時点で、ノンフリート契約者なら保険の等級は次回契約更新時に下がります。

この場合、等級が1つ下がる場合と3つ下がる場合に分かれます。盗難や飛び石などで保険を使った場合には1等級下がります。それ以外の事故でノーカウント事故に該当しない場合には3等級下がる仕組みです。

自身の過失割合が0の交通事故の場合を除き、全損になって保険料を受け取った時点で、次回契約更新時に等級が下がることは間違いないしょう。

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