タイヤが多いほど1輪あたりの重量負担を減らせることから、輸送トラックやダンプトラックといった大型車両にはタイヤがたくさん付いています。実際に、10t以上の大型トラックは6輪や8輪が一般的です。

普通車の場合、前2つのタイヤが駆動するFFが一般的です。6輪、8輪のトラックは、どうなのでしょうか?

トラックのタイヤの数・位置の違いで何が変わる?

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そもそも、8輪トラックは前後に4つずつ、前2軸、後2軸でタイヤが固定されていますが、6輪トラックの場合、前1軸・後2軸、前2軸・後1軸とタイヤの付き方にもバリエーションがあります。

同じ6輪トラックでも、タイヤの数や位置が異なるのはどうしてでしょうか?

通称「前ダブ」と呼ばれる前2軸・後1軸のトラックは、直進安定性が高く、高速道路での長距離輸送に適しています。また、荷重が分散されるため液体搬送にも向いています。後輪が車体後方に付くためリアオーバーハングが短く、後退時の操作性が高いことも特徴です。

前1軸・後2軸は、小回りが利くため都市部での運転に適しています。ただしカーブでは、後輪により多くの遠心力が加わるためスリップしやすいのが欠点。また、積載量が多くなると前輪の荷重が過剰になり、ハンドリングが悪化する場合も。

前2軸・後2軸の8輪トラックも前ダブと同じく、走行安定性に優れる代わりに小回りが利きません。しかし、積載量を増やせるのが8輪トラックの強みです。

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8輪、6輪すべてのタイヤが駆動しているわけではない?

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4つタイヤが付いている普通車の場合、前2つのタイヤが駆動するのが一般的です。6輪、8輪のトラックは、どうなのでしょうか?

実は、トラックの駆動輪は原則的に後側です。前2軸、後2軸の8輪トラックの場合は、後2軸の4つのタイヤが駆動します。

ただし、前1軸・後2軸の6輪トラックの場合、後2軸のうち1軸だけが駆動するものと2軸とも駆動するものがあります。後2軸のうち1軸だけが駆動する6輪トラックは、後輪の前側タイヤのみが駆動し、後輪の後側タイヤは駆動しません。(通称「引きずり」と呼ばれます)

構造上、トラックは後輪への負担が大きくなるため、後側のタイヤが多いほど最大積載重量が大きいトラックといえます。

一方で、空車状態のトラックではタイヤの接地圧が低下するため、滑りやすくなります。そのため一部のトラックには、積載重量に応じてタイヤを持ち上げ、適切な接地圧を保つ「リフトアクスル機構」が採用されています。

輸送トラックは2輪駆動、工事車両は後4輪駆動が多い

タイヤを駆動させるため、エンジン動力を左右に分割するデファレンシャルギア(デフ)。

2輪駆動のトラックにはデフが1つだけ備わるため「ワンデフ」、後4輪が駆動するものは「ツーデフ」とも呼ばれます。

不整地や滑りやすい路面での走破性に優れるのはツーデフのほうです。砂利地などの走行を迫られるダンプトラックやミキサー車などに多く採用されています。

一方でツーデフは燃費悪化を招くため、輸送トラックではワンデフが一般的です。

つまり、輸送トラックは2輪駆動、ダンプトラックやミキサー車などは後4輪駆動であることが多いといえます。