ターボチャージャー(排気式過給機)と対のように語られる、スーパーチャージャー(機械式過給機)。ターボラグがないという利点が注目される事はあったものの、採用車種は意外と少なめです。

今後電動式で復活する可能性がなくはないものの、2022年1月現在の国産乗用車で、少なくとも過給機として使われているスーパーチャージャーはありません。

過去にも例が少ない国産スーパーチャージャー車の代表例を紹介します。

トヨタAW11 MR2(初代・1986年追加)

トヨタAW11 MR2(1986年改良時)

クラウンへの1G-GZE搭載で(1985年)、国産乗用車初のスーパーチャージャー採用メーカーとなったトヨタ。翌年にマイナーチェンジした初代MR2、さらに翌年登場したカローラレビン/スプリンタートレノ次期型にもスーパーチャージャーの4A-GZEを採用します。

しかし、MR2やレビン/トレノの自然吸気スポーツエンジン4A-GEは、典型的な高回転型エンジンなうえ、当時は可変バルブ機構など高回転の最高出力と低回転トルクを両立するメカニズムの実用化前。

街乗りでの実用性のほか、加減速が多いスポーツ走行でも回転数が落ちると途端に加速力が鈍るため、相当な腕がたつドライバー以外にはスーパーチャージャーが必須なエンジンでした。

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トヨタTCR11W/21W エスティマ(初代・1994年追加)

トヨタ エスティマ(初代・画像は海外仕様のスーパーチャージャー非搭載車)

1990年発売、斬新なタマゴ型ボディで話題となった初代エスティマは、当時の日本では大きく重すぎたボディに、非力なエンジンがミッドシップ配置の床下でうなる、見た目に反して少々残念な車でした。

日本向け5ナンバー版、エスティマルシーダ/エミーナでサイズ問題は解決しますが、フルサイズ版エスティマもテコ入れで2.4リッター直4エンジンへスーパーチャージャー追加。

燃費はともかく動力性能は十分となりましたが、本来「S2」と呼ばれた新型2ストロークエンジンを積むはずが開発に失敗。S2用のコンパクトなスペースへそれしか積めなかったという間に合わせエンジンの非力さが、エスティマスーパーチャージャーを生んだのです。