教習所に通うと必ず受けなければならない「みきわめ」。試験ではなく、これまで技能教習で学習した運転の技量を確認するために行われるものですが、判定されると思うと、緊張でこわばってしまう人がいます。

みきわめは、どのくらい難しいものなのでしょうか。具体的にどんなことが判定されるのかも含め、元教官だった筆者の経験をもとに解説します。

みきわめは試験ではない…具体的に何を見られるの?

みきわめは、所内の技能教習(第一段階)終了時と、路上の技能教習(第二段階)終了時の2回行われます。通常の教習と同様に50分間行われ、最終的に問題がなければ「良好」、技量に問題があれば「不良」という判定が下されることになります。

それぞれのみきわめの目的は次のとおりです。

  • 第一段階みきわめ:交通の状況に対する認知、判断や他の交通への気配りをしながら、交通法規に従った運転ができるか
  • 第二段階みきわめ:交通法令に従って、道路や交通状況に合わせて、安全で円滑な運転を自主的に行えるか

第一段階のみきわめは、主に「正確な操作」と「ルールに従って走れるか」の2つを重点的に見ます。

つまり、少しくらいエンストしても、合図を忘れても、確認漏れがあっても、みきわめで「不良」判定されることはまずないと言えるでしょう。路上に出ても事故を起こさないような操作性を有していれば、少しくらいのミスは判定に影響しません。

その一方で、第二段階のみきわめは少し難易度が上がります。その後に控えている卒業検定に合格すれば、練習はできなくなり、免許を取得して1人で走れるようになるわけですから、第一段階のみきわめより難しくなるのは当然でしょう。

第二段階のみきわめで重要視されるのは、主に「状況判断」です。路上では突発的な事象が起こります。その際に、状況を判断して安全な対応が取れるかがポイントとなります。

とはいえ試験ではないので、採点もされませんし、少しくらいミスがあっても問題ありません。

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判定のポイントは「重大な事故につながるかどうか」

©Africa Studio/stock.adobe.com

第二段階のみきわめを実施した際、実際に筆者自身が「不良」と判定した例をいくつか紹介します。ここで紹介することが起きると良好な判定がもらえないと思ってみてください。

不良事例1:信号無視の連発

信号無視は重大な事故につながる違反ですが、1回くらい信号を見落としてしまうことは仕方ありません。しかしそれが、2回、3回と続くような場合は、単に見落としたというより、信号を見ていない、気付いていないということになりますので、「不良」と判定しました。

不良事例2:歩行者保護等の保護違反

路上であれば特に歩行者の動きには絶対に気付かなければいけません。横断歩道を渡っている、もしくは渡ろうとしている歩行者に気付かない場合は、人身事故を誘発する危険があり、見落としたでは済まされません。よって「不良」判定となる可能性が高いです。

不良事例3:速度が遅すぎる

速度制限を大幅に超えることはもちろん問題ですが、慎重になりすぎて遅すぎる速度で走る教習生がたくさんいます。ノロノロ運転は、他の車の迷惑になるだけでなく、交通の流れに合わせられないということです。何度も指摘しているにも関わらず、速度が遅すぎる場合は、「不良」判定を出します。

実際に多かったのは、法定速度30キロメートルの道路を15~20キロメートルで走行する教習生です。速度を超えないようにすることにばかり集中してしまい、ものすごく遅くなってしまうのです。これではあまりに遅すぎてかえって危険です。

繰り返しになりますが、みきわめは決して難しいものではありません。練習の成果をあらためて確認する時間だと思ってください。

みきわめで「不良」判定になる場合、ほとんどが、重大な事故や違反につながるかどうか、安全な状況判断、行動が取れるかどうかです。

誰が見ても危険だ、重大な違反だと思うようなことさえしなければ、みきわめで良好な判定が下されるはずです。こわばらずにいつもどおりに望みましょう。

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