環境対策エンジンを作る上でコストパフォーマンスが悪いと、現在は作られなくなった1気筒あたり5バルブエンジンですが、かつてはボディ側面にバルブ数を示したデカールを貼るなど、自動車メーカーにとって技術力の象徴だった時代もありました。
コストパフォーマンス面で見合わない技術とみなされ、自動車史の中では派手な割に、パッと咲いてはすぐ散ってしまいましたが、今回は代表的な搭載車種をいくつか紹介しましょう。
三菱 ミニカダンガンZZ(1989年)
世界初の量産車用5バルブエンジンは軽自動車用!もともと日本の軽自動車用エンジンは「DOHC4バルブ電子制御インジェクション・インタークーラーターボ」など精密機械のようでしたが、三菱はその頂点でした。
それも550cc3気筒15バルブの3G83/同ターボに始まり、660cc版3G83、4気筒版4A30と続き、搭載車種もホットハッチのミニカダンガンなどミニカ系から、ブラボーなど軽1BOX系、軽SUVのパジェロミニまで及びます。
ただし小型車などへ発展することはなく、軽自動車用も2002年の排ガス規制を突破するほどでもないと判断されたか、普通のDOHC/SOHC4バルブエンジンへ回帰しました。
(広告の後にも続きます)
トヨタ カローラレビンGT APEX(1991年)
ホンダDOHC VTECなど、可変バルブ機構でリッター100馬力に達する高回転高出力型エンジンで出遅れたトヨタですが、1.6リッタースポーツエンジン4A-GEへ吸気側のみ可変バルブタイミング機構のVVT仕様とする際、同時に5バルブ化されました。
E100系カローラ/スプリンターのGTや派生車のホットモデル、カローラレビンではGT-APEXへ搭載され(ほかにカリーナGT)、スーパーチャージャー仕様の4A-GZE廃止でテンロクスポーツエンジンの標準となり、後には6速MTとの組み合わせが定番。
トヨタも結局は他のエンジンで4バルブが標準となり、5バルブは単に4A-GEの延命策に終わりました。