モータースポーツといっても、上はF1やWRCなどから、下は草レースまでさまざま。

中でも自動車メーカー自ら参戦するようなカテゴリーでは、老舗から新進気鋭のメーカーまでがしのぎを削り、近年はフォーミュラEや自動運転車のレースなど、先進技術の最前線となってきました。

モノを作って売り、利益を稼ぐという企業としての利潤追求にしては規模が大きすぎるモータースポーツへ、自動車メーカーが参戦し続ける理由を考えてみます。

メーカーにとっては冷徹な計算で成り立つ「企業活動」

FIA世界耐久選手権 2021年第2戦ポルティマオ8時間レースを走るトヨタ GR010 HYBRID

モータースポーツとは、 「スポンサーのため、あるいは情熱のため走るプライベーター」と、「メーカーそのもの」、大きく2つに分けられます。

大々的な参戦発表、参戦中のTV中継、その後の広告アピールまで大きく扱われるのは、大抵メーカーそのものか、メーカーの息がかかった有力チームの活躍など限定的です。

反面、広告効果が最大になる地域でしか大きく宣伝しないため、「実はモータースポーツで大活躍しているけど、日本ではマイナーな国産車」があったり、「その車種で勝っても市販車の宣伝にならないから」と、早々にメーカーワークス体制を打ち切られる悲劇も。

自動車メーカーによるモータースポーツ参戦は、情熱や栄光に突き動かされるプライベーターと異なり、冷徹な計算で成り立っている「企業活動」なのです。

(広告の後にも続きます)

自動車メーカーがモータースポーツに参戦し続ける理由は?

世界中でのセールスのため、無改造部門で過酷なダカールラリーを走るトヨタ ランドクルーザー200(2020年)

モータースポーツと一口に言っても、レースのような「競争」、ジムカーナやダートトライアルなど「タイムアタック」、正確性も要求する「ラリー」、芸術点の「ドリフト」とさまざま。

市販車に近い車両で行われる競技、完全にレース専用マシンを開発して行われる競技など、使用されるクルマも全く異なりますが、自動車メーカーがモータースポーツに参戦し続ける理由は何でしょうか?

市販車の性能をアピールするため

時代はどうあれ、メーカーとグループ企業の力を結集し、市販車の信頼性や耐久性をアピールし続けねばならない場合もあります。

過酷な悪路の長距離ルートを走り切るダカールラリーでは、総合優勝を狙う高性能な改造車クラスはもちろん、完走だけで御の字な市販車無改造部門にも、ランドクルーザーなど「市販車のブランド」を守りたいトヨタや日産、三菱などが力を注ぎました。

無数のコーナーや荒れた路面で難易度が高いニュルブルクリンク24時間レースなど、レクサス LFAのような「ブランド戦略上、非常に重要な車」を走らせたトヨタや、スバルなども不況に負けず力を入れています。

メーカーのブランドイメージ維持向上のため

F1のようなフォーミュラカー、WRCや国内ならSUPER GTのように、姿形は似ていても中身が全く異なる車で参戦する場合は、メーカーのブランドイメージ向上が最大の目的です。

近年、地味な大衆車メーカーからのイメージ脱却を図るトヨタは、「GR(Gazoo Racing)」を押し立てあらゆるカテゴリーへ積極参戦しており、 国産車メーカーの中でも ブランドイメージ向上にモータースポーツをもっとも活用しています。

「数年後の自分に期待してランクル買う」長納期化を逆手に取った購入方法とは