「日本一売れている車」N-BOXの苦悩

ホンダ N-BOX

多くの人々の生活を支えているのが、日本独自規格の車である軽自動車です。

なかでも、ホンダ「N-BOX」は2015年〜2020年まで6年連続で軽自動車販売台数1位を記録する大ヒットモデルです。2021年12月には商品改良を行い、「唯一の弱点」と言われていた電動パーキングブレーキが搭載されるなど、もはや死角のない1台となっています。

そんなN-BOXの快進撃ですが、ホンダにとっては喜ばしいことばかりではないようです。というのも、N-BOXは「売れれば売れるほど赤字になる車」と言われているからです。

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軽自動車の利益は「ドアミラー1個分」?

軽自動車に最も求められることのひとつが価格の安さです。その反面、厳格化される環境基準や安全基準に対応しなければならず、製造コストは年々上昇する傾向にあります。

そうした中で、魅力ある車を低価格で実現するためには、素材の選定や製造工程の効率化を徹底しておこなう必要があります。

「乾いた雑巾を絞る」と言われるほどのコストカットを経て販売された軽自動車ですが、1台売れたときのメーカーの利益はわずか数万円と言われています。スズキの鈴木修会長が、かつて軽自動車の利益について聞かれた際に「ドアミラー1個分」と話したという逸話があるほどです。

N-BOXの「売れれば売れるほど赤字」という言葉には、誇張がありますが、軽自動車が薄利多売で成り立っているというのは事実のようです。