ショッピングセンターの駐車場や、工場の敷地内など、公道以外でも「止まれ」や「徐行」、「最高速度20」などの標識を見かけることがあります。

公道ではない場所に設置されているこれらの標識を無視し、従わなかった場合、罰則の対象となるのでしょうか?

私道の標識には法的拘束力がない?

道路は、誰が管理しているのかどうかで区別されています。

国や地方公共団体が管理していれば「公道」となり、個人や民間企業が管理していれば「私道」となります。ショッピングセンターの駐車場や、工場の敷地内は民間企業が管理していると思われるため、「私道」ということになります。

  • 公道:国や地方公共団体が管理
  • 私道:民間企業などが管理

その一方で、標識はどのように管理されているのでしょうか。

守らなかった場合に罰則の対象となる、規制標識や指示標識は、公安委員会が設置すると定められています。反対に、罰則の対象とはならない案内標識や警戒標識は、道路管理者が設置できるとしています。

公安委員会が標識を設置する場所は、基本的に公道です。私道には道路管理者が標識を設置します。

つまり、私道に設置された規制標識や指示標識は、公安委員会ではなく道路管理者が設置しているため、法的拘束力はないと考えられます。

  • 規制標識・指示標識:公安委員会が公道に設置(罰則の対象になる)
  • 案内標識・警戒標識:道路管理者が私道に設置(罰則の対象にならない)

では、私道で、道路管理者が設置した標識(規制・指示)を無視して違反してしまった場合、取り締まりの対象になってしまうのでしょうか?

警視庁交通相談コーナーの担当者に話を聞くと、このような回答が返ってきました。

「私道(ショッピングセンターの駐車場)で止まれの標識を無視した場合、違反となるのでしょうか?」

「公道でなければ、違反の対象とはなりません。」

「私道に設置してある標識には法的拘束力はないのでしょうか?」

「ありません。私道の標識は施設の管理者が設置しています。公道の標識は公安委員会が設置しています。

公安委員会の決定を受けて設置された標識でない場合は、法的な拘束力は発生しません。標識を設置するかどうかの最終的な判断は公安委員会ではなく警察庁です」

「私道で事故を起こしてしまった場合、どうなるのでしょうか?」

「交通事故が発生した場合は、公道、私道問わず、処理が必要になります。けが人の有無に関わらず警察に通報していただき、適切な処理を行ってください」

私道で標識を無視しても罰金などはないが……

つまり、私道で標識を無視して、違反したとして罰則の対象にはならないということです。

しかし、なぜそこに標識が設置してあるのか、その意味を考えてほしいと前述の担当者は話します。危ない場所だからこそ、標識を設置して注意を呼びかけているわけです。

公道であれ、私道であれ、標識や標示、交通ルールを守ることがドライバーの義務。罰則の対象にはならない場所であっても、標識には従うようにしましょう。

ドライバーに求められるのは、公道、私道問わず、あらゆるシーンで安全運転を実施することです。

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