トンネル内では窓を閉めるべき?

このあたりで急いで窓を閉めた経験、あるのでは?
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トンネルに入るときは車の窓を閉めるべき、といったことを言われたことがある方は多いのではないでしょうか。

これは、トンネル内は空気が悪いので、窓を開けていると汚れた空気が車内に充満してしまうことが理由です。

とはいえ実際はトンネル内の空気がどれほど汚れているのか、よく知らない方も多いはず。今回は、トンネル内の空気の状況や、換気するための設備などを解説し、本当にトンネル内では窓を締めたほうがいいのかを改めて考えていきます。

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トンネル内は有害物質が多い

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トンネル内の空気中には、車から出た煤煙や一酸化炭素といった排気ガス(有害物質)が多く含まれています。

特に全長が長いトンネルでは空気の循環が悪いので、短いトンネルよりも空気が悪くなりがちです。

何も対処していない場合、空気中の有害物質がドライバーに生理的な悪影響を及ぼす恐れがあるほか、充満した排気ガスが周囲の視界を奪う可能性もあります。

どれくらい空気が汚れているのか

東京大学と交通安全環境研究所によって2012年に行なわれた調査によると、高速道路の車道上ほぼ全域で、大気環境基準(=健康を保護する上で望ましい大気汚染の数値)の1日平均値を超過していたとのこと。渋滞しているとさらに高い数値になってしまうようです。

中でも、総延長10kmほどで交通量が多いトンネル内では、短期曝露(たんきばくろ)の指針値がトンネル外の10倍を超えていたといいます。

短期曝露指針値は簡単に言うと、1時間で二酸化窒素が人体に及ぼす影響度合いを示す数値。いかにトンネル内の空気に有害物質が多く含まれているかが分かります。

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空気を清浄にするための対策が施されている

上部に設置されているのが「ジェットファン」
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なぜ普段こうした問題が起きていないのかというと、トンネル内の空気を入れ替えるための対策がされているからです。

代表的な対策として、トンネルの天井に設置されている「ジェットファン」という換気設備があります。

ジェットファンは飛行機のジェットエンジンのような形状をしていて、汚染されたトンネル内に換気風を発生させ、新鮮な空気の流入を促進します。これによって空気を清浄にし、ドライバーの視界も確保することができます。

とはいえこういった対策を施しても、空気が普通の道よりも汚染されていることには代わりありません。