最近は今にも廃止されそうな勢いで存亡が危ぶまれつつ、全国の警察向けパトカー需要を考えればまだまだ生産が続きそうなトヨタの高級サルーン「クラウン」。

1955年に初代モデルが発売されて以来、15代、66年もの時を重ねた割には、ライバルを蹴落としフラッグシップモデルらしい栄華を誇った期間は、短かったような気もします。

今回はそんな歴代クラウンの中でも、「いかにもクラウンらしい歴史的名車」を3台、厳選してみました。

4代目S60/70系「クジラ」

4代目S60系前期「クジラ」クラウンセダン

「クラウン史上最大の、そして偉大なる失敗作」が4代目。

スピンドル・シェイプなる前後を絞り込み丸みを帯びたスタイル、フロントグリル上のスリット左右に配されたポジションランプやウィンカーがヒゲのように見える事から「クジラ」という愛称で呼ばれています。

保守層向けセダンの代表格である印象が強いクラウン。昔は少なかった個人ユーザー、後には若者向けに人気を上げるための革新を繰り返しており、クジラはその極端な例でした。

当時としては全くウケず、絞り込みすぎたフロントグリルのためエンジンの冷却性能にも難を抱える有様でした。しかし、そのデザインはむしろ後世になってから高く評価されています。

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6代目S110系「鬼クラ」

6代目S100系前期「鬼クラ」クラウンセダン

保守的なオヤジグルマとしてのイメージがもっとも極まり、特に初期型セダンの威圧感ある面構えから「鬼クラ」と異名を取るのが6代目。

他の多くの国産セダン同様、1970年代までの国内向けアメ車チックなデザインから一気に脱却した1980年代セダン。しかし、威厳あるトヨタの一般向け最高級サルーンであるがゆえに、フロントマスクだけは明るい新時代に合わせなかったというわけです。

マイナーチェンジ後の後期モデルは、当時のハイソカー的な内側フォグランプ内蔵の異型2灯式ヘッドランプでキリッとします。格調高い大型メッキグリルで威圧するあたり、現在でいえばアルファードに近い車だった事がわかります。