道路交通法では禁止されていないが…

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道路交通法は運転時のイヤホン使用・装着を禁止していません。イヤホンの使用・装着を禁止に言及した条文がないためです。

しかし、交通事故を起こした時にイヤホンを使っていて、それが事故防止を阻害したと判断され、道路交通法第70条(安全運転の義務)の違反とされることがあるようです。

安全運転義務違反は違反点数2点・反則金9,000円(普通車)、罰則では3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されます。

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一部の都道府県ではイヤホン使用を禁止している

しかし、運転時のイヤホン使用・装着は一部都道府県で禁止されています。

少なくとも次の6つの地域では確認済みです。「運転者の遵守事項」において、イヤホンへの言及が為されています。

  • 神奈川県道路交通法施行細則第11条
  • 愛知県道路交通法施行細則第7条の4
  • 大阪府道路交通規則第13条
  • 東京都道路交通規則第8条の5
  • 北海道道路交通法施行細則第12条の7
  • 熊本県道路交通規則第11条の5

しかし、これらの条文を実際に読むと、使用そのものを禁止しているというよりも、周りの音が聞こえなくなるような音量で使用することを禁止する条文のようにも受け取れます。

つまり幾分か曖昧で抽象的ということです。東京都・愛知県・大阪府の3つの規則を比較してみましょう。

東京都・愛知県・大阪府の3つの規則を比較

高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと」

東京都道路交通規則

大きな音量で、カーラジオ等を聞き、又はイヤホン等を使用して音楽等を聞くなど安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと

愛知県道路交通法施行細則 

安全な運転に必要な交通に関する音又は声を聞くことができないような音量で、カーオーディオ、ヘッドホンステレオ等を使用して音楽等を聴きながら車両を運転しないこと

大阪府道路交通規則

東京都と愛知県の条文はイヤホン(イヤホーン)で音楽やラジオを聞く行為そのものが「安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態」としています。

しかし、大阪府の条文はイヤホン等の装着そのものではなく音量に問題があると記述していることがわかります。都道府県ごとに若干の違いがあるのは実に興味深いですね。

以上のことから、イヤホンを装着して車両を運転する可能性のある人は、訪れる都道府県における運転手の遵守事項がイヤホンについてどのように言及しているのかを一度確かめると良いでしょう。

営業車を走らせる営業マンや大型トレーラーで新車を運ぶ運送関係者、ロングドライブ時にイヤホンで音楽を聞いたりする人は要注意です。