スマホ利用者の増加により、普段パソコンを使った仕事をしていない人でも、知らず識らずのうちに目が疲れてしまっています。車の運転は、そのほとんどを視覚に頼るため、目の異常はドライバーにとって一大事。ドライアイは運転にどのような影響をもたらすのでしょうか。

運転疲労の原因はドライアイかも

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ドライアイとは、目が乾いたような症状が特徴の眼病。目の疲労感や異物感などを伴う場合があります。運転時に目が疲れやすいといった悩みがある方は、ただの疲れ目や眼精疲労ではなくドライアイを発症しているかもしれません。

公益財団法人 日本眼科医会の知見によると、ドライアイは加齢や乾燥、集中状態時のまばたきの減少などの原因で涙の量や質が慢性的に低下することで起こるとされており、40歳以上の成人の17.4%がドライアイを発症しているそうです。

このようにドライアイはもっとも身近な現代病の一つだといえるでしょう。目が乾燥しやすいソフトコンタクトレンズの使用率増加に加え、スマホ利用時間の増加も、ドライアイの原因となっています。

デスクワークほどではないものの車の運転中も目を酷使します。車や標識の注視によるまばたきの減少に加え、車内は乾燥気味になっていることが多く、特に冬場は車内湿度が40%を下回ることも珍しくありません。

こんな症状があったらドライアイかも?

目を10秒以上開いた状態が維持できない症状はドライアイの初期段階です。

そのうえで目に疲労感や異物感を覚えたり、視力とは関係なく目がかすむ・眩しく感じる・かゆみを感じる・充血する・涙が出る・目ヤニが出る・痛みがあるなどの症状がある場合は重度のドライアイである可能性が高いです。

ドライアイは慢性疾患であり、多くの眼科医によれば治療による完治は難しいとされています。そのため、悪化させないための対策が肝心です。

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運転中の眼精疲労防止&ドライアイ対策法

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ドライアイは、涙の蒸発が進みやすくなる「蒸発亢進型」と、涙の分泌量が減る「涙液減少型」の2種類に分けられ、多くの場合でその両方が併発します。

そのため、運転中のドライアイ対策は、涙の乾燥を防げる運転環境づくりと、分泌を促すための方法を知っておくことが大切です。

これらの方法は、もちろんドライアイでない方にも有効です。ドライアイの対策法は、運転中の眼精疲労防止法でもあります。

目の乾燥を防ぐには?

まずはエアコンの風向きを確認しましょう。車内のエアコン風が目元に当たらないように風向きを調整することで目の乾燥を軽減できます。湿度が低くなる冬季の乾燥対策には、車用加湿器の使用が効果的です。

ただし、車内で継続的に加湿器を使う場合は、窓ガラスの曇りとカビの発生には十分に注意してください。車用の加湿器を用意するなら、加湿性能が低く、扱いやすい気化式がおすすめです。

コンタクトレンズを使用している方は、差し支えなければ眼鏡を使用しましょう。裸眼の方でもサングラスを使用することで風やホコリ、紫外線から目を保護できるため、ドライアイ防止効果が見込めます。サングラスは必要な可視光だけを取り入れる偏光サングラスがおすすめです。

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涙の分泌量を増やすには?

まぶたの内側にあるマイボーム腺から分泌される涙は、目の周りを温めて血行を促進させています。そのことによって涙の分泌量が増えるのです。

涙の量や質を改善するのは難しいものの、このはたらきを利用すると、一時的に涙の分泌量を増やすことはできます。

まぶたを温めるには温感アイマスクが最適です。掌をこすり合わせ、摩擦熱で熱くなった掌をまぶたに当てることも効果があります。

点眼薬は乾燥した目に直接潤いを与えられるため、もっとも効率のよいドライアイ対策になります。しかし効果はごく短時間であるため、緊急用として使うのがよいでしょう。