交通事故のニュースではその被害者や加害者の名前が実名公開されているときと、「30代男性」「60代女性」などの匿名で公開されるときがあります。実名報道するかどうかは、どのように判断されているのでしょうか。

実名報道と匿名報道が使い分けられているのはなぜ?

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この疑問で重要なことは、テレビやネット上にあるあらゆる報道機関が実名報道をできる理由を知ることです。

個人情報の保護に関する法律、いわゆる個人情報保護法は、個人情報を取り扱う事業者等が遵守するべき義務を取り決めています。しかし、この法律の第76条に「適用除外」の条文があり、次の5つに該当する場合には第4章(個人情報取扱事業者の義務等)の規定(個人情報の取扱い方や保護方法、禁止事項などの取り決め)を適用しないと定めているのです。

 放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む。) 報道の用に供する目的

 著述を業として行う者 著述の用に供する目的

 大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者 学術研究の用に供する目的

 宗教団体 宗教活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的

 政治団体 政治活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的

個人情報の保護に関する法律

※この場合の報道とは「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。)」を意味する。

報道機関は上記に該当するので第4章が適用されません。故人や被害者・加害者の名前や写真などを日常的に取り上げているのには、このような背景があります。

しかし実際は、実名報道と匿名報道が使い分けられています。これについてとある報道関係者は、こう話します。

「実名報道と匿名報道は各報道機関の判断で行われています。実名報道はメディアスクラム(この場合、民間人へ多数の記者が取材に押しかけること)を引き起こすとして懸念する意見もありますが、特に大きな変化はありません」

つまり報道機関は「これは実名で報道する価値・意義がある」と考えたら実名報道を行い、そうでないと判断すれば匿名報道を行うといったところでしょう。

死者の発生した交通事故(人身事故)の被害者・加害者が実名報道されるのは多いですが、その逆も然りで匿名の時もあるので、その判断基準は難しいところ。

しかし、交通事故は車に乗る誰もが遭遇する可能性があると考えると、交通事故における実名報道の意義は議論があるのではと感じます。

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