1980年代半ばから1990年代にかけ、ある程度量販された車をベースとするグループA時代のWRC(世界ラリー選手権)は、国産車が大活躍する「日本車黄金時代」がありました。

ラリー向きの安価な4WDターボ量販車など、日本以外ではほとんど作っていなかったからですが、おかげで現在も有名なセリカGT-FOUR、インプレッサWRX、ランサーエボリューションといった名車が生まれます。

しかしWRCにはそんなメジャーどころだけではなく、語られる事も少ないマイナーなラリー車が参戦していたケースも。そんな中から3台を紹介しましょう。

日産 スカイラインRS(6代目DR30グループA仕様)

1982年のアクロポリスラリーへ参戦した、日産DR30スカイラインRS

「スカイラインでラリー?」と思うなかれ。古くから国内外のラリーで多用されており、レースなら直6エンジン車が活躍するところ、ラリーでは直4エンジンでフロントも短く軽いショートノーズ車が中心でした。

もっとも、ショートノーズがあったのは5代目C210(通称”ジャパン”)までの話でしたが、ロングノーズのみとなった6代目にはDOHC4気筒16バルブエンジンFJ20を積む「RS」があり、1982年のアクロポリスラリーに参戦。

日産ワークスではなくプライベーターによるスポット参戦、しかも格下のグループAだったため話題にならなかったものの、WRCへ出場した最後の直4スカイラインとなりました。

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マツダ サバンナRX-7(初代SA22CグループB仕様)

マツダSA22C サバンナRX-7 グループB仕様
flickr.com Author:Brian Snelson CC BY 2.0

猛烈にパワフルで速いもののブレーキ性能が追いつかないなど、危険で過激な「グループBラリーマシン」で戦われた時代のWRCは、世界各国のメーカーが高性能マシンでしのぎを削る最前線。

日本メーカーもいくつか参戦しましたが、中でも変わり種はマツダSA22C、初代サバンナRX-7。「えっ?ロータリーでラリー?」と驚く人もいるかもしれません。

しかしれっきとしたマツダワークス、ワイドフェンダーにフロントのライトポッドもキマっています。4WDの優位性より信頼性に不安があった時期、FR車とはいえ勝利の可能性すら秘めていたSA22Cは、マツダ史上最高にかっこいいラリー車でした。