エンジンを横置きするタイプのFF車でも、全長が短いためフロントタイヤの切れ角に影響しにくく、高級感を追求した多気筒化に有利なV6エンジン。

最近は、ダウンサイジングターボハイブリッドシステムを組んだ小排気量直列4気筒エンジンに追いやられ、だいぶ減ったとはいえ、一時はかなり多数の採用車種がありました。

しかしいかんせん部品点数が多くて重く高コストゆえ、小排気量過ぎると力不足な割に高価で、バランスを取ると大抵は2.5リッター以上になってしまい、2リッターV6で高評価の国産スポーツエンジンは、意外とありません。

それでもあえて2リッターV6スポーツに挑んだ、数少ない傑作車3台を紹介します。

ホンダ レジェンドセダン V6Ti / V6Ti  Exclusive(初代・1988年)

初代ホンダ レジェンドセダン V6Ti Exclusive

ホンダの海外向け高級車ブランド、アキュラのフラッグシップとして1985年に発売、2L / 2.5(後に2.7)LのV6自然吸気エンジン搭載でしたが、1988年のマイナーチェンジで4ドアセダンにV6の2Lターボを追加。

初代シティに次ぐホンダ2番目のターボはSOHC4バルブのC20Aターボで、タービンブレード周囲の固定ウイング4枚と、排気流速を整える可変ウイングで過給圧を制御する「ウイングターボ」。

自然吸気版の145馬力に対し190馬力の高出力と、2.7Lー自然吸気エンジン(C27A)並の大トルクを発揮したものの、VTECの登場もあり、その後しばらくホンダはターボ車を作りませんでした。

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マツダ ランティス クーペ タイプX / タイプR(1993年)

マツダ ランティス クーペ タイプR

上級グレードへ170馬力のV6 2Lエンジンを搭載した、4ドアクーペ / セダン。

当時のマツダは5チャンネル販売体制破綻と深刻な経営危機で火の車、一度に多数の少量多品種生産車を発売して混乱を招いた「クロノス」ファミリーの悲劇もあり、ユーザーの視線が非常に厳しかった時代です。

それゆえランティスも日本で正当な評価を受けたと言い難かったものの、メディアによるテストでは高性能を発揮、一般受けこそしなかったものの、根強いファンをつかみます。

ただし、動力性能や加速性能は優れていたものの、総合的な走行性能は厳しくレース(JTCC)で不発だったのは、重さをパワーでカバーしきれないV6 2Lエンジンの宿命でした。