何も最新が最高とは限らない。基本設計が古くともたゆまぬ改良で、何の変哲もない実用機種と、高性能スポーツ機種の両立が成り立ち、しかも古い時代に余裕を持たせた頑丈な機種は、メーカーチューンドとして長期間使える…というのがエンジンの面白いところです。
その典型的例のひとつが三菱の名機・4G63で、1970年代にG63B”シリウス80”として登場後、国内では2000年代まで、海外ではその後も長く使われました。
今回は高性能版G63B/4G63ターボを搭載した多数の三菱車の中でも、特に注目すべき3台を紹介しましょう。
スタリオンGSR-V(A183A・1984年)
1982年に発売したスポーツクーペ、スタリオンは当初から2リッターSOHC2バルブ版のG63Bターボを搭載。同年中にインタークーラーを追加するなど段階的に戦闘力を上げましたが、2リッターターボ車の決定版は1984年登場のGSR-Vでしょう。
基本はSOHC2バルブながら、高回転域では吸気側に追加された大径バルブを作動させるSOHC3バルブ版G63B、シリウスDASH3×2を搭載、現在より高めの数値が出るグロス値ながら、リッター100馬力の200馬力を叩き出しました。
2.6リッターターボ&ワイドボディの2.6GSR-VR登場後は影が薄くなったものの、スタリオンの最高傑作はGSR-Vと言えるでしょう。
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ギャランVR-4(6代目E39A・1987年)
その後約20年多数の三菱車へ搭載された、4G63ターボ+フルタイム4WDの始まりで、当時の2リッター4WDターボ最強モデル。
WRC(世界ラリー選手権)にも投入されて幾度か勝利しましたが、ラリー車として本格的に猛威を振るうのは次のランエボからで、ギャランVR-4の真骨頂はどちらかといえばGTカー的な、高速長距離巡航を得意とするスポーツサルーンです。
実際、4WS(4輪操舵)や4IS(4輪独立懸架)、4ABS(4輪ABS)といったハイテク装備に豪華内装はスパルタンな競技ベース車には不要なもので、ランエボに競技車の座を譲った7代目以降、最終的に2.5リッターV6ターボの上級車種へと移行していきます。