道路運送車両の保安基準 第43条によれば、自動車(被牽引自動車を除く。)には必ず警音器(クラクション)を装着しなければなりません。しかし、なかなか鳴らす機会がなく、どんなシーンで使ってよいのか迷ってしまうことも多いのではないでしょうか?

対向車に「危ない!」と知らせたい、道を譲ってくれた車にお礼を言いたい、などさまざまなシーンに遭遇しますが、実はクラクションの使い方を間違えると法律違反で罰金になることも!?

サンキュークラクションは厳密に言えば違反

クラクションの使用に関しては、道路交通法 54条2項に次のように記されています。

「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。」

以上から、クラクションは”鳴らさない”のが原則であると言えます。

首都圏の警察関係者は次のように述べています。

「道を譲ってもらった際に鳴らす”サンキュークラクション”や、青信号に気づかない前方車両にクラクションで知らせることは、厳密に言えば違反です。」

”サンキュークラクション”は、たとえ悪気がなくとも「警音器使用制限違反」で3,000円の罰金が科せられる可能性があるので注意が必要です。お礼をする際は、手をあげて合図をするなどにとどめた方がいいかもしれません。

クラクション音の正しい使い方とは!トラブルや道路交通法違反を避ける為には?

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危険防止のための利用は法律上OKだが……

©Aleksandr Kondratov
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さらに、首都圏の警察関係者は次のように述べています。

「しかし、道路交通法第54条によると、クラクションを鳴らして走行しなければならない場所もあり、54条の2項では、危険を防止するためにやむを得ない時は鳴らしても構わないと記されています。

つまり、クラクションを鳴らして走行する場所以外で鳴らしてはいけない、ということではなく、現場の判断に委ねられることが多いのです。

ただし、最近は煽り運転によるクラクションの乱用が問題となっているので、使用には注意が必要です」

クラクションを鳴らして走行しなければならない場所とは、例えば「警笛鳴らせ」の標識がある道路です。

見通しの悪い交差点やカーブなどにこの標識がある場合、クラクションを鳴らさずに走行すると、道路交通法違反で5万円以下の罰金となります。

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警笛鳴らせの標識
「警笛鳴らせ」の標識

つまり、標識がない道路であっても同様に、危険を回避するための手段としてクラクションが有効な場合は、法律上鳴らしても構わないということのようです。

しかし、度を超えたクラクションの使用は周囲の迷惑になりかねません。特に、クラクションの乱用による煽り運転では、危険防止や警告以上の「悪意」を含んでいる可能性もあります。

以上を踏まえると、相手の運転にカッとなってついクラクションを慣らしてしまう……という人は、考えを一度改める必要があるでしょう。

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