今でこそ埋没気味から立て直している最中なものの、かつては国産車メーカーの王座をトヨタと争い、あらゆるジャンルで激しい火花を散らしてきた日産。

1960年代から1990年頃まで、時にはトヨタを蹴散らすほどインパクトのある名セダンを何台も生み出し、トラッドサニー(B12型)や910ブルーバード、R12ブルーバードSSS-R、グランツーリスモ系や430ターボ系のセド/グロなど印象深いモデルが多数あります。

今回はそれらの中から、モータースポーツでの活躍や社会現象にもなったモデルとして、現在まで日本での評価が高い3台を厳選しました。

3代目ブルーバード(510型・1967年)

タクシー用途メインだった国産乗用車で初のオーナーズカーとして、初代310型が初期の大衆車文化を彩ったブルーバードですが、BC戦争とも言われたトヨタ コロナとの激しい販売競争に、2代目410型のデザイン不評で失速。

奪われた王座奪回を目指し、スーパーソニックラインと呼ばれる直線的でシャープなデザインを引っさげ登場したのが、3代目510型でした。

一新されたエンジン、日産初の四輪独立懸架サスペンションによる優れた走りも好評で、1.6リッターSOHCエンジンを積むSSSグレードはスポーツセダンの名車として今でも名高く、1970年にはアフリカのサファリラリーで総合優勝の栄誉にも輝いています。

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初代シーマ(FPY31型・1988年)

当時のセドリック/グロリアをベースにイタリアンルックの3ナンバー専用ボディ、全開加速時にはテールを下げるほどの大トルクを誇る3リッターDOHCターボのVG30DETを搭載するなど、まさに常識破り。

これがバブルの好景気と自動車税改正による実質減税にも支えられ、ハイソカーブームの頂点で高級志向を極めた新時代の富裕層へ刺さり、「シーマ現象」とまで呼ばれた大ヒット!

初代セルシオでデビュー予定の4リッターV8エンジンをクラウンへ先行搭載させるなど、宿命のライバル、トヨタが慌てふためく様はまさに痛快でした。

「高級だけどオヤジくさくないセダン」は、その後の国産セダンで重要なキーワードとなっていきます。