ショックアブソーバーが作り出す力のこと
減衰力とは、ショックアブソーバーによって生み出される力です。サスペンションのばねの動きをキッカケに発生する振動を抑えることが主な役割となっています。
この話題では時折「ダンピング(damping)」という言葉が使われます。英語の意味では「減衰力」を意味していますので、ダンピング=ショックアブソーバーの減衰力、と考えて問題ないでしょう。
ショックアブソーバーは一見ただの筒状のパーツですが、内部には複雑な構造が設けられています。
複筒式ショックアブソーバーを例にその構造を端的に説明すると、アウターシェル内部のシリンダーにピストンロッドやピストンバルブにオイルなどが存在していて、ピストンが上下運動すると同時にオイルがリザーバー室やシリンダー内を行ったり来たりするという感じです。
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減衰力を理解するために知っておくべき基礎知識
ばねはロール量を決める
コイルスプリングに代表される各種ばねは、自動車のロール量(車体がどれくらい左右に傾くか)を決定づけます。各ばねにはバネレートというものが決められていて、1mm縮めるために必要な力を示しています。
例えば10kg/mmであれば、10kgの力がかかるとばねが1mm縮むということです。
ショックアブソーバーはばねの振動を抑える
上記のようにばねは縮むわけですが、ばねを縮める力がなくなれば反力で伸びてくることは周知の通りです。その反力をしなやかに逃がして抑えることがショックアブソーバーの役割であり、そのために使われる力が減衰力なのです。
ショックアブソーバーがなくスプリングだけのサスペンションが装着されているとすると、その車は凹凸がある路面で縮んでから、長い時間ぼよんぼよんとはね続けます。
また、ショックアブソーバーの減衰力は、コーナーリング時の自動車のロールする速度(ロールスピード)にも影響を与えます。これは是非とも覚えておいてください。
ばねやショックアブソーバーで使われる単位
減衰力関連でよく使われる単位を紹介しますと、まず1つがピストンスピードです。
ショックアブソーバー内部で動いているパーツで、単位 m/sec(1秒あたりに何メートル動くのか)で表されます。この単位が出てくる際には共にN(ニュートン)あるいはkgfが使われ、減衰力の大きさを表します。
もう1つがばねの単位です。先ほども少し紹介したバネレートのことで、そのばねを1mm縮めるためにどれくらいの力が必要であるのかを表しています。例えば10kg/mmであれば、10kgの荷重(力)がかかった時にばねが1mm縮むというわけです。
ショックアブソーバーの圧側・伸び側
ショックアブソーバーが縮む時の減衰力は圧側、反対に伸びる時の減衰力は伸び側と表現されるのが定番です。この知識は、減衰力調整可能な車高調を導入してセッティングする際に大いに役立ちます。