霊柩車(れいきゅうしゃ)とは?

霊柩車
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霊柩車は遺体を移動させるために使用する自動車のことです。葬儀・告別式会場から火葬場までを運ぶ自動車を総称して「霊柩車」と呼んでいます。

霊柩車の歴史

日本での霊柩車の歴史を紹介します。

遺体を運ぶとき、自動車が使われるようになるまでは、担いで運ぶ「輿型」、明治初期まで使用された「駕籠型」大八車に輿を載せた「棺車」など、さまざまな形状の乗り物が使われていました。

自動車の霊柩車が登場したのは大正時代といわれています。その後は自動車に神輿をつけたような宮型霊柩車、欧米式のシンプルな洋型霊柩車、遺体と遺族が一緒に移動できるバス型霊柩車、納棺されていない状態で搬送できるバン型霊柩車(搬送車)とさまざまな霊柩車が登場しました。

英語で霊柩車は「hearse」

霊柩車は英語で「hearse」と呼ばれています。語源はラテン語の「手押し車」からきているといわれています。もともとは手押し車で棺を運んでいたのですが、馬車で運ぶ霊柩馬車になり、その後自動車の霊柩車になりました。

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霊柩車の車種|洋型・宮型・バス型・バン型

霊柩車には大きく分けて4種類あります。

洋型霊柩車

洋型霊柩車
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現在主流の霊柩車です。大型のステーションワゴンや高級乗用車を改造して造られる霊柩車です。

後部はカバーされているようなデザインですが、これは馬車時代の折りたたみ幌のイメージで、S字型の金具はランドー・ジョイントという幌部のヒンジを模した装飾です。

宮型霊柩車

出典:wikipedia.org Author:Corpse Reviver CC 表示-継承 3.0

昭和の時代はよく見られた宮型霊柩車ですが、最近は見る機会がほとんどありません。御輿のようなものが車に載せられた宮型霊柩車は、遠くからでも「霊柩車が来た」とわかるほどの存在感です。

彫刻や彫金の技術が使われた芸術的ともいえる霊柩車ですが、費用面やご近所さん・火葬場などの周辺住民への配慮から平成の初めごろから徐々に姿を消し始めました。

特に葬儀場で葬儀を行うことが多くなるようになってから、霊柩車の走るルートは限られてきます。ルート沿いに住んでいる方は、毎日のように宮型霊柩車を見て「死」を意識することになりました。

特に都市部に葬儀場が作られ出してから、そのような気持ちになる人は増え、宮型霊柩車の車両の乗り入れを禁止する火葬場も増えてきました。自治体によっては宮型霊柩車の乗り入れや運行を禁止しているところも増えてきました。

そのため、あからさまな霊柩車である「宮型」の運行は少なくなってしまったというのが現状です。白木や漆塗りなどの違いや、地域ごとにデザインが違っているのも特徴です。

バス型霊柩車

ご遺体とご遺族の方、一緒に移動できるバス型霊柩車です。大型バスやマイクロバスを改造して作られます。マイクロバスの場合後部に棺を収めるタイプ、大型バスの場合はトランクルームを収棺スペースとして、その上にくる座席は取り外されています。

火葬場までの距離が長い地区や、冬の気象条件が厳しい地区でよく使われます。

バン型霊柩車(寝台車)

病院などから納棺せずに自宅や葬儀式場へ搬送するときには「バン型霊柩車」がよく使われます。「寝台車」「搬送車」と呼ばれることも多くあります。後席の半分が取り外され、ストレッチャーの設備がついています。その理由は納棺されていない状態で移動することが多いためです。

このように霊柩車にもさまざまな種類があります。

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車種による霊柩車のランク

霊柩車のランクは以下のとおりです。

  1. 宮型霊柩車
  2. 洋型霊柩車
  3. バン型霊柩車

今までは「霊柩車」といわれると、宮型霊柩車を思い浮かべる方が多かったかと思います。しかし、葬儀を連想させてしまうことと、高コストという理由で最近はあまり使われず、洋型霊柩車が一般的になりつつあります。またコストを抑えたい場合は、バン型霊柩車が活用されているようです。