適齢期の男性3000万人が「結婚難民」に…スケールが大きすぎる、中国の超高齢社会の未来とは
適齢期の男性3000万人が「結婚難民」に…スケールが大きすぎる、中国の超高齢社会の未来とは
 世界最高のスピードで少子高齢化が進む日本。前人未踏の社会を実現しそうな事態に、世界中が注目している。
『未来の中国年表(講談社現代新書)』(近藤大介/講談社)

 世界最高のスピードで少子高齢化が進む日本。前人未踏の社会を実現しそうな事態に、世界中が注目している。

 ところが、日本の超高齢社会なんてちっぽけに感じる、スケール違いの超絶高齢社会を迎えそうな国がある。お隣、中国だ。世界第2位の経済大国であり、2018年には人口14億人を突破するであろう今まさにイケイケな中国に、なぜそんな暗い未来が待っているのだろうか。

『未来の中国年表(講談社現代新書)』(近藤大介/講談社)では、世界最大の人口を誇る超大国でこれからやってくる未来を年表にして紹介している。本書を読んでいると、14億という数字が織りなすケタ違いの未来に開いた口がふさがらない。その一部を少しだけご紹介したい。

■2018年、中国でも始まった人口減少時代

 ものすごいスピードで増え続けている中国の人口。世界でも類を見ない「一人っ子政策」を設けて増加を抑制するほどの国なのだが、それがアダとなり、ついに2017年から出生数が減少に転じたそうだ。

 その大きな原因の1つが、子育て世代である20代女性の減少。なんと2016年と比べて、2017年は約600万人も減少したという。さらに出生数も同年で比べて249万人の減少。249万人という数字は、日本の出生数の3年分近くにあたる。うーん……数が大きすぎてよく分からん。とにかくマズイのだ。

 そのため人口増加を促す「二人っ子政策」を設けたのだが、虚しくも空振り。中国は日本の約30年前の道を歩んでいると言われており、とうとうその姿が顕著になってきた。

■2020年、適齢期の男性3000万人が「結婚難民」と化す

 生涯未婚率が増え続ける日本。しかし中国の場合はケタが違う。なんと適齢期の男性3000万人が「結婚難民」と化すのだ。これまたスケールが大きすぎて想像できない。

 これが起きた原因も「一人っ子政策」のせいだ。世界第2位の経済力を有するとはいえ、中国の農村部は貧困にあえいでいる。そのため男児が欲しい。だから女児が生まれても役場に届けを出さなかったり、間引いてしまったり、業者に売りつけたりすることが横行した。その結果、中国の人口ピラミッドは年齢構成だけでなく性別構成でもいびつになってしまった。いやしかし……いくらなんでも3000万人はアリエナイ……。

 このため需要過多になった女性たちは「持ち家がない男は話にならない」と、超高飛車になっている。日本の男子たちも厳しい状況にあるが、中国の男子たちはもっと過酷な恋愛戦争を繰り広げているのだ。

■ぶっとんでいる中国の裏事情

 あまりにスケールの大きい未来に、「実はフィクションが混じっているのではないか?」と疑ってしまう。だが、この本の本当の魅力はこれじゃない。数年間北京で暮らし、中国全土を踏破した著者だからこそ書ける中国の裏事情が面白いのだ。2つほどご紹介しよう。

 中国は第二の首都を作ろうとしている。日本の「大阪都構想」を思い出すが、中国の場合は荒れ果てた農村地「雄安」に第二の首都を構えるという。そのため荒野で大開発が始まったのだが、問題は「誰がその首都に行くのか?」ということだ。

 日本の常識で考えれば、お偉い老人たちが前途ある若者に「勉強してこい!」と告げるだろう。しかし貧しい農村で少年時代を過ごした経験がある習近平主席は、意外にもインテリと金持ちが大嫌い。そのため北京の名門大学と国有企業をまるまる移転することに決めてしまった。こんな未来を想像だにしなかった大企業の社員や有望学生は途方に暮れ、「雄安」に住む男たちは俄然強気になって「25歳以下で、米英に留学したことある女性なら結婚してやってもいいぜ!」と婚活を始める事態に。なんとぶっとんだ国だ。

 また、中国は世界最大の離婚大国でもある。2016年には約400万組が離婚しており、そのペースは年々増加。2024年には600万組、東京都の人口に匹敵する1200万の人々が離婚を経験するというのだから、もう笑うしかない。

 中国の場合は、離婚を切り出すのは主に女性側だそうだ。一人っ子政策の影響で両親や祖父母から甘やかされて育ち、「寿退社」という文化がなく、夫婦が平等の立場にある中国では、カネこそが最も大切。夫より素晴らしい相手を見つけたらすぐに決断してしまう。そのため市役所では離婚の上限件数がある。北京市では「1日の離婚処理件数は1000件まで」だそうだ。ここまでくると面白いのかどうかも分からなくなってきた。

■2035年には総人口が減少し、インドの脅威にさらされる!?

 最後に本稿でご紹介できなかった「未来の中国年表」の見出しを記して終わりたい。

2019年 首都・北京の人口もごっそり減る
2021年 中国共産党100周年で「貧困ゼロ」に
2022年 大卒が年間900万人を超え「大失業時代」到来
2023年 世界一の経済大国となり中間層4億人が「爆消費」
2024年 年間1200万人離婚時代がやってくる
2025年 「中国製造2025」は労働減少を補えるか
2035年 総人口が減少しインドの脅威にさらされる
2049年 建国100周年を祝うのは5億人の老人

 どうだ、これが中国だ。本書を読めば中国の魅力……ではないか……中国の不思議を存分に味わうことができる。あまりのスケールの大きさにアゴが外れてしまうかもしれないので、口を閉じながらページをめくってほしい。

文=いのうえゆきひろ

(更新日:2018年7月6日)

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