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わが子が「音楽で生きていきたい」と言い出したら

BOOKウォッチ

音楽で生きる方法(青弓社)<amazonで購入>

 学校行事、部活、習い事など、学生時代は音楽を体験できるチャンスがいろいろある。「将来、音楽を一生の仕事にできたら」と、一度は願ったことがある人も案外多いのではないだろうか。

 ただ、音楽で生きていける人はほんの一握り。夢に向かって一歩踏み出せる人ばかりではないだろう。では、どうすれば音楽で生きていけるのか。大学をどう選び、大学でどう過ごし、留学や仕事とどう向き合えばいいのか。

 本書『音楽で生きる方法――高校生からの音大受験、留学、仕事と将来』(青弓社)は、社会学者と職業音楽家がコラボし、音楽を続けるなかで向き合う現実や音楽と楽しく歩むコツをレッスンする一冊。

サバイバルのノウハウを伝えるテキスト

 著者は、上智大学総合人間科学部准教授の相澤真一さん、立教大学社会情報教育研究センター助教の高橋かおりさん、京都女子大学発達教育学部非常勤講師の坂本光太さん、演奏家・声楽指導者の輪湖里奈さん。

 本書は20人以上の音楽関係者へのインタビューから貴重な経験を取り出し、音大のリサーチ方法、受験準備、入学後のレッスン、卒業後の留学やキャリア選択、オーケストラへの就職以外の選択肢、演奏家の心身のケアやストレス対策など、音楽の道に進んでいくうえで起こりうるイベントを時系列で具体的に解説している。

■目次
第1章 音楽を本格的にやりたくなったら考え始めること 相澤真一
第2章 How to 音大受験 輪湖里奈
第3章 受験を決めてから知っておきたいこと 輪湖里奈
第4章 音大に進学したらどうやって学ぶか 相澤真一
第5章 卒業後、どうする? 相澤真一
第6章 音大後の音大選択――海外留学の理由と事情 高橋かおり
第7章 演奏家の移動と定住――世界を舞台に生きる工夫 高橋かおり
第8章 演奏以外に音楽の仕事を広げる――研究・教育・社会貢献 高橋かおり
第9章 音大卒業生のその先 輪湖里奈/坂本光太
第10章 演奏家の健康について 坂本光太
用語集

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 専門も立場も異なる四人の著者には「意見の相違もたくさんあります」としながらも、全体の方向性は不思議と意見が一致することが多かったという。

 「『自分の目指すものを考えて、頭を使って練習すること』や『目標に向かってがんばりながらも常に視野を広くもつこと』(中略)そういう専門を超えたサバイバルのノウハウを伝えるテキストとして仕上がっていると、四人の筆者は考えています」

音楽の道に進むことを決心したら

 ここではまず、音楽の道の入口に立ったものの、「一歩踏み出しそうかどうしようか」と迷っている人へのメッセージを第1章から紹介しよう。

 「多くの人にとって、音楽の道は厳しい。音楽の道に進むことを決心したら、あなた自身で道を拓くつもりで能動的に物事を調べて、自分に合った先生のもとで着実に、頭を使って、練習を積み重ねていこう」

 やはり、就職においても「ほかの人と違う厳しさがある道」のようだ。そのことを頭に入れたうえで、それでも音楽を本格的に始めようと思ったとき、「具体的には二つのことをしてほしい」としている。

■親あるいは進学費用を出してくれている人に意思を伝える
■音楽家になる道を知っている人のレッスンに通いながら、音楽家になるために必要なことを学ぶ

最もタフなのは卒業後の選択

 もう一つ、第5章から。多くの人にとって最大の関心事と思われる、音楽の道を歩んだ場合の将来の見通しにふれておこう。

 「音大を卒業してからの選択が最もタフかもしれない。心身の健康を整えて、自分をプロデュースしながら、地道に良質なコネクションを作っていこう」

 どうやら、音大に入れる人数に対して音楽の仕事ができる人数は決して多くない、という「社会構造の問題点」もあるようだ。実際、卒業後の数年間は「心身両面できついことも多い」という。

 インタビューに応えた人の中には、「プー太郎の時期」を過ごしたケースも。体調を崩しながら、それでも最終的に続けられた理由は「どうせ命をかけるならやりたいことをしたほうがいい」と考えたから、と語っている。

 「自分には、絶対に音楽をなりわいとしたいという強い気持ちがありました。安定を求める気持ちとの葛藤はありましたが、続けました」
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