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実際には存在するが、人間の目では見ることができない「禁色」とは?

カラパイア

人間の目では見えない色

 赤みを帯びた緑を想像してみてほしい。それらを混ぜ合わせたときにできる茶色ではなく、赤のようで、それでいて緑のような色だ。あるいは黄色っぽい青でもいい。緑ではない。黄と青、両方の色合いを持つ色だ。

 なかなかイメージするのは難しいだろう。そうした色は存在するが、人間には決して見えないからだ。赤緑色や黄青色は、「禁色(orbidden colors)」と呼ばれている。これらの組み合わせは、人間の目の中で相殺されてしまい、同時には決して見えない。ゆえに禁じられた色である。

 日本では平安時代の朝廷で、一定の地位や官位等を持つ者以外に禁じられた服装のことを禁色と呼ぶが、そっちではないし、三島由紀夫の小説でもない。

赤×緑、黄×青、打ち消し合う反対色ニューロン


 簡単に見えそうで見えないのは、人間が色を知覚する方法と関係している。

 網膜の中に「反対色ニューロン」という細胞がある。この細胞は、赤い光の刺激によって発火し、赤いものが見えると脳に伝える。だが、緑の光の刺激を受けたときは抑制され、それによって脳に緑が見えていることを伝える。黄色については赤と同様に発火し、青では抑制される。

 私たちが普段目にしている色は、この反対色ニューロンの活動を脳が解読した結果だ。赤い光は緑の光によって相殺されてしまう。黄色い光と青い光の関係も同様だ。だからまったく同じ場所に進入してきた赤と緑を同時に見ることはできない。

人間には見えない色「禁色」
Pixabay

禁色を見る裏技がある


 だが禁色を見る裏技が存在するという。それはアメリカの工学者ヒューイット・クレーン氏らによって、1983年の『On Seeing Reddish Green and Yellowish Blue』という研究で発表されたものだ。

 彼らは、隣り合った赤と緑(あるいは黄と青)の縞模様を被験者に見てもらうという実験を行った。

 このときアイトラッカー(視線の場所や動きを追跡する機器)でそれぞれの色が必ず同じ網膜細胞に進入するよう調整された。たとえば、ある細胞には必ず赤い光が進入し、同時に別の細胞には必ず緑の光が進入するようにしたのだ。

 このようにして色が打ち消し合うメカニズムを回避すると、色彩が縞模様の境界を越えて溢れ出してくる。すると赤と緑が同時に見えるという不思議な色彩体験を味わうことになる。

 そのときの参加者たちは、それが色であることは分かるが、何色と言えばいいのか分からないと報告している。ちなみに参加者の中には、豊富な色の知識を持つアーティストもいたそうだ。

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禁色を見る実験に使用された画像 credit:Life’s Little Mysteries

禁色の存在自体を疑う研究者も


 じつは2006年にもダートマス大学の謝伯讓氏らによって同様の実験が行われている。だが、謝氏らは、禁色の存在を疑っている。

 この実験では、より客観的な結果を得るために、参加者に画面に表示されたカラーマップを見てもらい、形容できない色が見える組み合わせを探してもらった。

 そして最終的に出された結論が、その”くすんだ色”は単一の禁色などではなく、じつのところ2色が混ざったものというものだ。

 これといって変わったところのない色ならば、なぜ1983年の実験で参加者はその色の名称を表現できなかったのだろうか?

 謝氏によれば、その理由は中間色が無限に存在するからだという。無限に存在するなら、それを表現する語彙がなかったとしても驚くにはあたらない。しかし名前がないからといって、その色が色空間の中に存在していないわけではない。

人間に見ることができない禁色の正体
iStock

禁色は存在すると主張する研究者


 一方、アメリカ空軍研究所の視覚学者ビンス・ビロック氏は、ここ10年の研究によって、禁色の存在は証明されていると主張する。

 謝氏の実験では、決定的に重要なものが使われていなかった。それはアイトラッカーだ。謝氏は参加者に対して、画面に表示される模様に視線を固定するよう指示しただけだった。この場合、網膜まではきちんと固定されない。

 ビロックによると、禁色が出現するのは、縞模様が”網膜”に対して固定さており、かつ色のペアがまったく”同じ明るさ”である場合だけなのだという。片方が明るすぎると、謝の実験で報告されたような”くすんだ”オリーブ色が見えてくる。

 一方、正しい条件で実験すれば、くすんだ色ではなく、驚くほど”鮮やかな”色が認識されるのだという。それは見たこともない紫色で、ビロックらはブルーイッシュ・レッドと呼んでいる。

禁色を見る実験
iStock

普通なら絶対にお目にかかれない幻の色


 禁色が認識されるメカニズムは現在も研究が続けられているところだ。だが、ビロックは、色の相殺効果は克服できると考えている。

 赤と緑(あるいは黄と青)の縞を網膜に対して固定することで、各反対色ニューロンに1色の光しか進入してこないようにする。すると2つのニューロンは競合しなくなり、色に対して自由に反応できるようになるというのだ。

 その結果として、不思議な赤い緑が出現する。それは自然には絶対に目にすることができない幻の色だ。

References:Red-Green & Blue-Yellow: The Stunning Colors You Can’t See | Live Science/ written by hiroching / edited by parumo

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