総務省の「通信利用動向調査」(2020年5月公開)によれば、固定電話の保有状況は全世帯平均で69.0%だが、20代世帯に限るとわずか5.1%となる。家庭における固定電話は徐々に姿を消しており、若年層になるほど固定電話を使った経験値が低くなっていることは明らかだ。そのため、電話の取次ぎや伝言を受けるなど、電話対応の基本を知らないまま社会人となる若者が増えている。
また、スマホなら誰から電話がかかってきたのかわかるが、会社の固定電話の場合、ほとんどが知らない相手からかかってくるため、電話を取ることが怖い=「固定電話恐怖症」という言葉さえ生まれている時代なのだ。
企業のハラスメント対策に詳しい、社会保険労務士の木村政美さんはこのように話す。
「『TELハラ』という言葉は初めて聞きましたが、かつては多くの会社でそのようなことがおこなわれていたと思います。しかし、そんな常識は今では通用しません。右も左もわからない新入社員にいきなり電話対応をさせ、失敗すれば叱責する。こんなことをすれば、ハラスメントと受け取られても仕方ないでしょう。まずは研修で、電話対応を一から教えること。きちんと段階を踏んでいくことが必要です」
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ビジネスでもメールによるやり取りが中心となっている現代だが、まだまだ電話でのやり取りも必要とされるのも事実。仕事の基本であり、電話の応対で社会人としての常識やビジネスマナーを学べる、と考える人も多い。ハラスメントと取られないためには、まずは会社がトレーニングをしっかりと受けられる場を設け、新入社員に「成長への近道」として認識を持ってもらえることが必要な時代なのだ。