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AKIRAインタビュー 黒澤映画と『HiGH&LOW』、三船敏郎と琥珀さんの共通点とは?『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』で伝えたいこと

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『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』は、黒澤明監督『七人の侍』『用心棒』などで知られ、「世界のミフネ」として海外でも尊敬された俳優・三船敏郎の生涯に迫るドキュメンタリー映画だ。三船敏郎への「入門編」とも言える同作では、黒澤監督を中心とした有名作品をとりあげつつ、三船史郎ら親族、土屋嘉男さんら共演者、役所広司ら現役の俳優、さらにはスティーブン・スピルバーグやマーティン・スコセッシら海外の監督まで、様々な視点から見た“三船敏郎”の姿と生涯が収められている。

英語版では、三船敏郎を神のごとく崇拝する俳優キアヌ・リーブスがナレーションを担当。そして、日本版ナレーションを担当したのが、AKIRA(EXILE/EXILE THE SECOND)である。10代には、ファンとして三船敏郎の作品に親しんでいたというAKIRAだが、俳優としても活動していく中で、どのような影響を受けたのか。本作に関わることであらためて知った黒澤映画や三船敏郎の魅力から、自身の人生や仕事との意外な共通点、そして、次の世代に伝えたいことまで、じっくりと語ってもらった。

 

“本物の侍”との衝撃的な出会い


AKIRA 撮影=岩間辰徳



――AKIRAさんが三船敏郎さんを俳優として意識されたのは、いつ頃ですか?

しっかりと俳優さんとして意識して作品を楽しむようになったのは、やはりこういうお仕事をするようになってからです。ただ、昔から映画を観るのが好きだったので、地元のレンタルビデオ店に足を運んで作品を借りて観ていました。日本の名作コーナーには必ず黒澤明監督と三船敏郎さんのお名前があって、そこに『七人の侍』がドン!と置いてあったんですよね。ジャケットとタイトルが気になって観させていただいた、というのが最初です。中学生の頃だったので、難しくてわからなかったところもあったんですが、画のエナジーにすごく惹かれて。三船敏郎さんの姿を見て、「侍のドキュメンタリー映画なのかな?」と思っていたくらいです(笑)。本物のお侍さんって、あまり画で見かけることがなかったので、「これが侍なんだ!」と思ってしまうような、とてもエネルギッシュな出会いでした。すごくインパクトが強かったですね。

――ドキュメンタリーの冒頭でも、“侍”としての三船敏郎さんがテーマになっています。

三船敏郎さん以前と以後では、“侍”の持つイメージが全く違うじゃないですか。たぶん、三船敏郎さんは『七人の侍』で演じられたぶっきらぼうな菊千代の姿で、当時の侍のイメージを覆したと思うんです。自分たちの世代は三船敏郎さんを見て、「侍はこういう感じだったのか」「こういう時代だったのか」と思えるような。だから、時代を塗り替えた方なんだと思います。


(C)“MIFUNE:THE LAST SAMURAI”Film Partners 写真(C)TOHO CO.,LTD.



――確かに、一目見れば忘れないほど強いビジュアルイメージを持っている方ですね。

この映画でも、黒澤明監督が三船敏郎さんを見出して一緒に作品を作り続けたのは、時代とか権力に流されるのではなく、刃向っていく反発心とか、戦うエネルギーがお芝居にも出ているのを感じたから、というようなことが描かれています。まさにその通りだな、と。それが画に出ているから、今の世まで語られているんだろうな、と思います。

――侍ではなく、“人間・三船敏郎”の姿も描かれています。ご本人のことをリサーチしないと、ナレーションを付けるのも難しかったのではないでしょうか。ご家族の方に三船敏郎さんのお話を直接聞かれたのでしょうか?

三船敏郎さんのお孫さんで、この作品のプロデューサーでもある三船力也さんから沢山お話をうかがいました。それと、三船敏郎さんの資料を200点展示した『世界のミフネと呼ばれた男』という展覧会が昨年の10月にあったのですが、その資料を開催前に見させていただきました。そういうもので研究させていただいています。映画では、三船敏郎さんが軍を退役するときに、1円50銭と毛布2枚だけを渡される、というエピソードが登場するのですが……みっともない格好で帰りたくなかったから、自分で毛布をコートに仕立てて帰ったとか、そういったお話は知らなかったことです。一つひとつ調べていくと、三船敏郎さんの生真面目さとか、几帳面な性格とか、人柄を感じることができました。

――マメですね。ナレーションでは何を心がけられたのでしょう?

侍としての強いイメージだけじゃなくて、静かな海のように広く優しく、高潔な精神を感じていただけるようなトーンでいけたら、ということを、監督と何度もお話をさせていただきました。「自身でも想像しえなかった波乱に満ちた人生を、あたかも運命のごとく歩んでいった」というナレーションがありますが、まさしくその通りに。ほかにも、素の自分で語ってみたり、三船敏郎さんに寄せたようなドスの効いた声でやってみたり、色々と試させていただいています。ただ、そういうことを超えた優しさというか、もっとお客さんが入ってき易いようなテンションも試させてもらいました。それで、最終的にあのナレーションに着地しました。
 

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撮影=岩間辰徳



――『沈黙-サイレンス-』でご一緒されたマーティン・スコセッシ監督も、三船敏郎さんについて証言されていますね。

最初にこの映画でスコセッシ監督を観たときはびっくりしました(笑)。自分が(『沈黙-サイレンス-』に)出演させていただいたときのことを思い返して、この映画でスコセッシ監督が語る一つひとつの言葉を聞くと、確かに黒澤明監督と三船敏郎さんに影響を受けて現場にいらっしゃったんだろうな、とあらためて思いました。スコセッシ監督も、やはりチームや和を大事にされる方です。例えば、主演だったり、そのシーンで重要な人の気持ちやコンディションが整うまで、絶対にカメラを回さないんです。台湾のロケで、炎天下の中着物姿で2時間待たされたこともありました(笑)。頭からお尻までシーンを割らずに、何十テイクも一気に撮ったりもしましたし。そういうことを思い出すと、スコセッシ監督もやはり黒澤明監督や三船敏郎さんにインスパイアされていた、すごく影響されていたんじゃないかな、と思います。

――スティーブン・スピルバーグ監督も登場しますね。スコセッシ監督とともに、三船敏郎さんが肉体の表現力に優れている点をとても評価されていたのが印象的でした。

やはり、何かを背負って躍動している感じが、三船敏郎さんの表現にも出ているんだと思います。三船敏郎さんのことを調べていくと、物事をものすごく研究されて、とても真面目に取り組まれていた方だということがわかりました。でも、そういうことを現場では一切出さずに、周りのことを大切にされていた。これは役所広司さんもおっしゃられていたことですが、三船敏郎さんは現場でカメラの前に立ったときには、頭の中を全部真っ白にして、爆発させるように演じられる。そういう、想定内ではなく、想定外のものを常に生み出しているようなところが、世界の巨匠や海外の人たちが欲する姿だったのかな、と思います。
 


(C)“MIFUNE:THE LAST SAMURAI”Film Partners 写真(C)TOHO CO.,LTD.



――ビジュアルだけでなく、表現にも人間性が出ている、と。

やっぱり言語じゃないんだな、と思います。もちろん、今は当時より世界が近くなっていますので、語学を勉強して色んな国の方と作品を作ることも、すごく夢があっていいことだと思います。でも、三船敏郎さんのような方を見ていると、言葉や理屈、あるいは人種を超えた生き様が大事なんだ、と思いますよね。にじみ出るお人柄が、いつしか“サムライスピリッツ”として愛されたんだろう、と。

――AKIRAさんが“琥珀さん”を演じられた『HiGH&LOW』も、肉体で表現する場面が非常に多いですよね。『HiGH&LOW THE MOVIE』のクライマックスの3対1の戦いの熱量は、今回のドキュメンタリーに登場する、『蜘蛛巣城』で三船敏郎さんが追い詰められるシーンのそれと重なりました。

ありがとうございます! それはとても光栄なので、ぜひ書いておいてください(笑)。『HiGH&LOW』は企画自体が自分たちとスタッフのみなさんが一丸となって作っていく作品でしたので、すごく自由にやらせていただきました。琥珀を演じるときには、いい意味で頭を真っ白にして挑めたといいますか。特に、触れていただいたクライマックスのシーンは、本当に拳や蹴りを当てたりもしたので……とてもハードな撮影だったのですが、『HiGH&LOW THE MOVIE』の中でも本当に重要なシーンだったので、背負っているものもあったんだと思います。


(C)“MIFUNE:THE LAST SAMURAI”Film Partners 写真(C)TOHO CO.,LTD.



――三船敏郎さんが『蜘蛛巣城』の撮影で、本物の矢を射かけられたエピソードも登場します。そういった、ある種異様なこだわり方も『HiGH&LOW』に通じるような気がしました。

恐縮ですが(笑)。『蜘蛛巣城』のあのシーンは衝撃的ですよね。もちろんCGもない時代なので、ぼくも最初は早送りか何かを使ってやっているのかな、と思っていました。でも、実際に学生さんたちが矢を射かけていたそうで。顔にはもちろん当たらないですし、身体にも詰め物をしていたんでしょうけど……当たってますよね。やっぱり、お互いに集中力を持って、背負っているものがあったんだと思います。スコセッシ監督がおっしゃっていたんですが、あのシーンはいつ観ても新鮮に感じるそうです。普通は同じシーンを何回も観たら飽きますよね。毎回観ても新鮮に思えるシーンって、なかなかないですよ。

 

黒澤映画と『HiGH&LOW』、三船敏郎と琥珀さんの関係

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