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北島博士のおもしろ映画講座 第74回 緊急公開中!『封神演義』の世界観をベースにスケールの大きい作品とした中国3DCGアニメーション映画『ナタ転生』

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『ナタ転生』

©︎ Light Chaser Animation Studios

 中国の長編アニメ映画といえば、アジア初の長編アニメでもある「西遊記 鉄扇公主の巻」(1941)から始まり「大暴れ孫悟空」(61)、「ナーザの大暴れ」(79)などが思い出される。最近では予想を大幅に上回るヒットとなった「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」(2019)が記憶に新しい。「ナタ転生」は『封神演義』(ほうしんえんぎ)のファンタスティックな世界感をベースに、武侠小説・武侠映画のテイストを織りこみ、近代都市をバックにバイクが疾走し、銃器がうなるかと思えば、妖怪・魔物との死闘があるというアクションてんこ盛りの作品となっている。

©︎ Light Chaser Animation Studios

 『封神演義』とは明代に成立した、人界と仙界を二分して仙人、道士、妖怪らが争うというアクション仕立ての小説。そのエピソードの一つに、七歳の少年ナタのせいで東海龍王の息子が死亡し、怒った龍王が大暴れするというのがあり、前述の「ナーザの大暴れ」は名前こそナーザになっているが、ここのくだりを脚色したものだ。他にも映画、テレビ・ドラマ、テレビ・アニメ、劇画になっており、2016年にはジェット・リー主演で「封神伝奇 バトル・オブ・ゴッド」が公開されている。古代中国、殷の末期。紂王が美女・妲己に惑わされて暴政を行ったので、仙界の道士姜子牙が楊戩、哪吒(ナタ)、姫雷といった道士を率いて立ち向かう。カンフー映画がワイア・アクションを駆使したスペクタクルなものに進化し、続いてSFXを多用したスケールの大きなものに到達したように、アニメも3DCGを使った派手なアクションが主流になってきたことを「ナタ転生」が如実に示しているように思われる。

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©︎ Light Chaser Animation Studios

 東海市は高層ビルがあるかと思えば、1920~30年代風の古い建物や路地のある不思議な都市空間。市街地をコースにしたバイクレースで、李雲祥は美貌の女レーサーを下して勝ったが、現実の社会では宅配業者に雇われ、生活のために密輸品の配達もやらなくてはならない。東海市では雨が降らず、徳興グループが水道を牛耳り、庶民は苦しい生活を強いられていた。

 徳興グループの社長はかつて息子をナタに殺された東海龍王の化身であり、以来三千年ものあいだ復讐の機会を狙っていたという。龍王という名が示すように水を武器に、火を武器とするナタと死闘を展開する。ナタは本作では実の父を殺し、多くの人々を傷つけた過去を持ち、さまざまな人に転生して現在に至っており、龍王は転生先を見つけると覚醒する前に始末していたという。李雲祥は大きな被り物をした不思議な人物の薫陶を得て、火の使い方をマスターし、龍王の本拠地である竜宮へのりこんでいく。

©︎ Light Chaser Animation Studios

 自分のアイデンティティに悩む李雲祥、そして彼の父、兄、彼に恋する幼馴染のカーチャ、美貌のライダーこと女医の蘇君竹といった周りの人々とのかかわりあいといった人間ドラマもあるが、メインはやはり”火VS水”のアクション部分。手から炎を吹き出し、全身が炎上するナタに対して、龍王は奔流、氷の刃を用い、さらには蛟龍というドラゴンまでもが参戦するシーンは迫力あった。
『封神演義』の筋書きとは大きく離れているが、神話の世界と人間世界がブレンドされてスケールの大きな作品に仕上がっている。

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