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もう一度乗りたい!ホットハッチの元祖「ゴルフGTI 16V」が見せつけた日本車との違い

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−−ゴルフGTI 16Vは、五朗さんにとって初の輸入車となったわけですが、日本車との違い、みたいなものは感じられましたか?

岡崎:何が違っていたかというと、一番は乗り味だね。GTI 16Vは高性能モデルといっても、馬力だけを見るとCR-Xやシビックと同等、もしくは劣っていたかもしれない。でも、実際にドライブしてみると「ああ、自動車評論家がいう“乗り味の違い”というものは、こういうものか!」と実感させられた。

例えばフットワークに関しては、ハンドルをちょっと切った時でも反応の遅れがないし、それでいてスピードを出している時でもハンドルの中立付近がものすごく安定している。おまけに、そこからハンドルをちょっと切るとスムーズに向きを変えてくれる。まさにドライバーが思った通りに動いてくれる感じだったね。

−−以前、思い出をうかがったCR-Xは、ものすごくピーキーなクルマで“タックインの権化”とも表されていました。それと比べてゴルフGTIはいかがでしたか?

岡崎:GTI 16Vでもサーキットを何度か走ったんだけど、とても走行安定性が高かったのを覚えている。CR-Xではしばしばスピンモードに入り、真横を向きそうになった筑波サーキットの最終コーナーも安心してクリアできたよ。GTI 16Vは前輪駆動車なのに、下手にアクセルペダルを抜いてもタックイン現象はジワリとしか出ないから、まさにペダルの踏み方次第で曲がっていける感覚だった。だからサーキットでも安心して飛ばせたね。

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あと、エンジンにしても、エンジン単体のパワー感だけでなく、駆動系などパワートレーン全体を含めた“しなやかさ”みたいなものを感じさせてくれるクルマだった。そういう体験を通じて「クルマにも“味”というのがあるんだな」と考えさせられたね。
■さすがはアウトバーンの国で生まれたクルマ

−−日本車とはひと味違う、そういう走り味を生み出せていた最大の要因は、なんだったと思われますか? ボディが強固だったんですかね?

岡崎:もちろん、日本車に比べるとボディはしっかりしていたと思う。でも、それだけじゃないと思うよ。ボディを始めとするきちんとした基本の上に、ちゃんとしたテストドライバーがちゃんとしたチューニングを施していた。これが一番の要因だと思う。「こういうクルマに仕立てたい」という作り手の思いや思想が明確だったんだろうね。

あとは、VWが本拠を置くドイツのお国柄も大きいと思う。高速道路やサーキットでは、スピードを上げれば上げるほど走りの安定感が増していったからね。「さすがはアウトバーンの国で生まれたクルマだ!」と痛感させられたよ。

――ちなみに、GTI 16Vの最高速度は200km/hオーバーといわれていましたね。

岡崎:当時、200km/hに到達できる日本車なんて、ほぼ存在しない世の中だった。もし200km/h出せたとしても、それは一瞬の話。でもGTI 16Vは、アウトバーンやサーキットなど条件さえ許せば、200km/hで走り続けることができたんだ。そのために、エンジンを高回転域で回し続けても熱でやられないような対策がきちんと施されていた。GTI 16Vは僕のドイツ車初体験でもあったわけだけど、まさにドイツ車の核心があのクルマには凝縮されていたと思う。

−−その後、五朗さんはオープン仕様の「ゴルフカブリオ」や、V6エンジンを搭載した「ゴルフVR6」も所有されました。それくらい、ドイツ車初体験となったGTI 16Vの影響は大きかったのでしょうか?

岡崎:そうだね。結果的に、3台ともノーマルではなく“役物”のゴルフを手に入れている。でも、それには理由があるんだ。かつてベーシックなゴルフは、正直いってパワートレーンの出来が好みじゃなかった。実用的ではあるけれど、艶っぽさとか吹け上がりの気持ち良さ、ダイレクト感が希薄だった。見た目も質実剛健で、非常に良くできていたけれど大衆車という印象が強かったんだ。

その点、GTI 16Vやカブリオ、VR6は、良くできた大衆車をベースとしながら、ルックスや仕立て、エンジンの官能性などを差別化することで、特別な存在へと昇華していた。まさにプレミアムなモデルで、僕はそこに惹かれたんだと思う。

その後、小排気量の直噴ターボエンジンやデュアルクラッチ式トランスミッション“DSG”を採り入れるようになってから、フツーのゴルフも十分魅力的になったと思う。日本ではまだ売られている7代目モデルなどは、ベーシック仕様でもプレミアムカーに匹敵する静粛性や乗り心地を備えているからね。

−−2021年には8代目ゴルフの日本発表が予定されていますし、そのGTIバージョンもそう遠くないうちに上陸することでしょう。その2台がどんな仕上がりになっているか、期待したいですね。

コメント/岡崎五朗 文責/上村浩紀

岡崎五朗|青山学院大学 理工学部に在学していた時から執筆活動を開始。鋭い分析力を活かし、多くの雑誌やWebサイトなどで活躍中。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』のMCとしてもお馴染みだ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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