
「旅先で旨いものを食いたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこでB級グルメに精通する現役運転手・荒川治さんにイチオシのお店に案内してもらいました。
「2021年、今年は福が来ますように」という願いを込めて、今年一番に私がご紹介したいお店は、東京板橋区・前野町にある『中華料理 丸福』というお店です。店名もさることながら、ここのチャーハンを食べるとまさに“福来たる”という気分になるんです。

ちなみに『丸福』は、都営三田線の駅「志村坂上」から徒歩で約10分、東武東上線の「ときわ台」駅からは徒歩20分ほどかかる、けっこう不便な場所にあります。が、それこそタクシーに乗ってでもわざわざ訪れる人が多い、町中華の名店なんです。
みんなのお目当ては、もちろん名物の「チャーハン」(650円)です。世の中にはいろいろなタイプのチャーハンがありますが、『丸福』のそれは、一度見たら絶対に忘れられなくなるビジュアルです。

黄金色に輝くチャーハンの上にのっているのは、刻んだチャーシュー。中央には艶々と光るグリーンピースが2個。まるで正月の鏡餅か富士山のように、思わず縁起物のように拝みたくなる見た目です。
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もちろん、外見のインパクトだけではありません。口にすると、非常に印象に残る味わいなんです。その魅力をご紹介していきましょう。
群を抜いてウマい繊細な味わいのチャーハン

このチャーハンのスゴさは、パラパラ感としっとり感の絶妙なバランスにあります。
パラパラ感で言えば、(1)具材のハムやタマネギを同じサイズ感で丁寧に細かく切ってあること、(2)チャーシューの刻み具合がご飯に馴染む絶妙の塩梅であること、(3)米粒ひと粒1粒が、卵の薄い膜で覆われていること――などが、パラリとした食感を生んでいる理由ではないかと思っています。

そして、ご飯の炒め方をはじめ、具材の投入のタイミングに工夫をこらすことで、タマネギのみずみずしさやシャキシャキ感がちょうどいい具合に残り、口に入れた時に水分量がちょうど良いしっとり具合も同時に感じられる、というわけです。
当然、食感だけでなく味付けも素晴らしい。塩・胡椒、ごま油、醤油、そして中華スープの深い旨みも響き、尖った味や油っぽさが一切なくて、非常にまろやか。具材の味や食感も相まって、とにかく繊細な味わいなのです。
私は毎回、「チャーハンと半ラーメン」のセットをオーダーしますが、女性でもペロリと食べられる美味しさです。ぜひ『丸福』で“口福”必至のチャーハンを体験してみてください。