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エコなのに走りは鮮烈!ボルボ「XC60」ポールスター仕様が拓く高性能車の新境地

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それを踏まえると、XC60 T8 ポールスターエンジニアードの見た目は拍子抜けするほどあっさりしていて、フツーのXC60との見分けがつきにくい。見た目における“激しさ”のようなものは一切ないのだ。

とはいえ、ヤルことはしっかりやっている。専用デザインのバンパーやフロントグリルをあしらうほか、21インチという大径のタイヤ&鍛造ホイールを履き、それを収めるためのフェンダーアーチモールも装着。

またホイール内には、直径400mm(フロント)という大径のローターに、日本の曙ブレーキ社が手掛けた巨大なキャリパーを組み合わせるなど、ただ者ではないオーラが漂っている。

そのため見る人が見ればフツーじゃないと感じるのだが、多くの人はノーマルのXC60との見分けがつかないだろう。あくまでも“さりげなく”というのがポールスターエンジニアードの流儀だし、それがある意味、ボルボらしさを感じさせる。

一方のインテリアには、専用表皮が与えられたスポーツシートが備わるが、そのほかに目立つのはゴールドカラーを採用したシートベルト程度。

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外観と同様、とびきり派手というわけではなく、あくまで控えめな仕立てとなっている。
■エコとスポーティのキャラとが一瞬で切り替わる

そんなXC60 T8 ポールスターエンジニアードで興味深いのはパワートレーンだ。ハイパフォーマンスカーといえば、数字だけが独り歩きしそうなほどハイパワーのガソリンエンジンを搭載、というのが、かつての常套手段だった。しかし、ポールスターエンジニアードは違う。ベース車比で15馬力アップとなる333馬力のガソリンターボエンジンに、フロント46馬力、リア87馬力のモーターをそれぞれ組み合わせ、420馬力というシステム最高出力をマークする。

そう、ボルボが手掛けるハイパフォーマンスカーの心臓部はハイブリッド仕様なのだ。しかも、外部からの充電が可能なプラグインハイブリッドである。そのためバッテリーの充電量が十分な場合、エンジンを止めてモーターだけで走行可能(最長距離は約40km)。つまりポールスターエンジニアードは、高出力モデルでありながらエコカーというふたつの顔を持った、未来志向の高性能車なのである。

エコカーの顔も持つXC60 T8 ポールスターエンジニアードだが、ギヤセレクターレバーの手前にあるロータリー式セレクターで走行モードを「ポールスターエンジニアード」に切り替えれば、アクセルとトランスミッションのレスポンスが向上し、後輪を駆動させるモーターの出力特性もスポーツ走行寄りに。ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール/横滑り防止装置)もスポーティな走りを受けつける制御となり、躍動感あふれる走りを披露してくれる。その時の乗り味はまるでスポーツカーのようである。

環境に優しい一面と、バリバリのスポーティなキャラクターとが一瞬で切り替わる。それがこのクルマのひとつの醍醐味だが、こうした多重人格の走りを味わえるのは、ハイパフォーマンスカーブランドとして異例中の異例。新しい時代が求める超高性能車とは、まさにこういったクルマなのだろう。
■従来の価値観に縛られない超高性能車の新しい姿

キャラクターといえば、XC60 T8 ポールスターエンジニアードは乗り心地においても“らしさ”を感じさせる。超高性能車であるにもかかわらず、同乗者にそのことを一切感じさせることがないのだ。サスペンションはソフトというわけではなく、それなりに締め上げてはあるのだが、上々の乗り心地を提供してくれる。これは、北欧に本拠を置くブランド・オーリンズ製の高性能ショックアブソーバーが“いい仕事”をしているからにほかならない。路面の衝撃をしっかりと和らげることで実現した、まるで上級セダンのような乗り心地は、21インチという大径タイヤを履くモデルとは思えないレベルにある。

そんなXC60 T8 ポールスターエンジニアードで街中を抜け、高速道路を走りながら、このモデルは“違いが分かる人に似合うクルマ”だと思った。

見た目には“いかにも”という部分がなく、しかも、イマドキの基準でいえば超ハイパワーというわけではない。しかし、走行モードを切り替えた時のドライバビリティには、運転する歓びがしっかり詰め込まれている。一方、プラグインハイブリッドというエコカーとしての顔も持ち、普段乗りの際のモーター駆動による静粛性に満ちたドライブ感覚は新鮮だ。おまけに乗り心地だって上々。なんと欲張りなクルマなのだろう。これぞ従来の価値観に縛られない、超高性能車の新しいカタチだと実感した。

ちなみに、XC60 T8 ポールスターエンジニアードのベースとなった「XC60 リチャージ プラグインハイブリッド T8 AWD インスクリプション」(949万円)との価格差は75万円。もしパーツ単体で購入するなら、オーリンズ製ショックアブソーバーと21インチの鍛造ホイールだけでそのくらいの金額になる(もしくは超えてしまう)だろう。XC60の中で最高額となるプライスタグも、中身を考えればものすごくコストパフォーマンスが高いことに気づく。

このクルマを購入できたラッキーな人は、やはり、よく分かっている人だ。願わくば2021年も再販されることを期待したい。

<SPECIFICATIONS>
☆T8 ポールスターエンジニアード
ボディサイズ:L4690×W1940×H1660mm
車重:2160kg
駆動方式:4WD
エンジン:1968cc 直列4気筒 DOHCターボ+スーパーチャージャー+モーター
トランスミッション:8速AT
エンジン最高出力:333馬力/6000回転
エンジン最大トルク:43.8kgf-m/4500回転
フロントモーター最高出力:46馬力/2500回転
フロントモーター最大トルク:16.3kgf-m/0〜2500回転
リアモーター最高出力:87馬力/7000回転
リアモーター最大トルク:24.5kgf-m/0〜3000回転
価格:1024万円(完売)

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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