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スカウトの最大の醍醐味は柳田のような「素材型」を発掘することだ

週刊ベースボールONLINE


広島経大時代の柳田。出場した3度の全日本大学選手権では4試合で13打数2安打。目立った実績を残すことはできなかったが、ネット裏のスカウトは「素材」を見逃さなかった

 大学野球シーズンも本格化し、全国各地では“運命の1年”をかけた4年生たちが猛アピールを続けている。つまり、プロ入りを目指す最上級生にとっては、進路を決める意味でも、実戦でNPBスカウトが納得する「内容」が求められる。追記しておくが「結果」ではない。こうしたプロの視点とは「将来性」を見た上での評価であり、目先のプレーだけでジャッジされることはない。

 大学は「4年一区切り」でとらえるケースが多い。そこで、8年前、2010年のドラフトを思い出した。12球団のうち、ドラフト1位で指名された大学生は7人。第1入札で全12球団が大学生投手を指名する“大豊作”であった。

 早大は大石達也(西武)の6球団競合を筆頭に、斎藤佑樹(日本ハム)は4球団が重複、福井優也は広島が外れ1位で入札した。同一チームから3投手が1位指名を受けるのは史上初だった。このほか、単独指名の中大・澤村拓一(巨人)、佛教大・大野雄大(中日)、第2回入札で2球団が競合した八戸大・塩見貴洋(楽天)、東海大・伊志嶺翔大(ロッテ)と7人がドラフト1位指名を受けている。

 しかし、「ドラフト順位」がそのまま「プロ実績」に直結することはない。この2010年ドラフトの大卒組で現在、最も輝いているのは柳田悠岐(ソフトバンク2位)と秋山翔吾(西武3位)の2人と言える。

 特に柳田は2018年の現役最高年俸(推定5億5000万円)と日本球界を代表する選手に上り詰めた。

 広島経大では2年時から3年連続で大学選手権に出場しているが、初戦突破を果たしたのは4年時のみ。通算4試合で13打数2安打、0打点と目立った数字を残していない。ただし、加盟する広島六大学リーグでは4年間8シーズンで打率.428、8本塁打、60打点。5度の打率4割超え、首位打者も4度受賞しており、すべてにおいて圧倒していた。

 各球団のスカウトは、この「結果」を評価するのではなく「内容」を見ていた。攻守走の3拍子に加えて、柳田の代名詞でもある「フルスイング」は当時から群を抜いていたという。同野球部の基本方針として、失敗を恐れない全力プレーがあった。つまり「三振OK!!」。そうしたチームカラーが、柳田のスタイルを作り上げたと言っていい。

 もともとは「野球は高校まで」と決めていた。名門・広島商高出身。高校では伝統校の中で心身を磨いたが、大学では自らで考えて行動できる環境を追い求めていた。広島経大の持つ独特な“空気感”が、柳田の成長を後押しした。

 脚光を浴びる舞台で活躍した選手が、そのまま活躍できるほど、プロ野球は甘い世界ではない。スカウトは柳田のような「素材型」を発掘することが、最大の醍醐味と言える。だからこそ、試合だけでなく、練習にも顔を出して、素顔を見極めないといけない。スカウティングとは、奥の深い仕事なのである。

文=岡本朋祐 写真=BBM

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