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北島博士のおもしろ映画講座 第72回-同時公開となった林海象監督のデジタル・リマスターで蘇ったデビュー作『夢みるように眠りたい』と最新作『BOLT』

cinefil

『夢みるように眠りたい』

 1985年に撮影され、翌86年に公開された林海象のデビュー作で、主演した佐野史郎の映画初出演作でもある。オリジナル16ミリネガ原版を元に、クラウドファンディングの支援を受けて2019年6月にデジタル・リマスター(2K)を制作したとエンド・クレジットにある。今回の再公開は実に34年ぶりとなるのだが、その描写の斬新さ、独創性、稚気愛すべき仕掛けは少しも色あせていない。

 当時、29歳の林海象監督が自ら脚本を書き、冒険探偵ロマンスにファンタジー要素を盛り込み、無声映画への愛情をたっぷりと盛り込んだ作品。
台詞は字幕で処理され、ラジオやテープレコーダーの音声、効果音及び弁士の説明はトーキーとなっている。無音、有音のバランスもよく、観客の興趣を高めるのに大きく寄与していた。

 初めて女優を使った映画は帰山教生監督の1919年作「生の輝き」とされているが、実はそれ以前に月島桜が主演した「永遠の謎」という時代劇があったという設定。
忍者に誘拐された桔梗姫を黒頭巾が救出しようとするという内容だが、風紀を乱すと警視庁から撮影、上映を禁止され、ラストシーンが撮られないまま歴史から消えていった。
 月島桜の娘、桔梗が誘拐され、犯人は身代金百万円を要求してきた。執事が魚塚探偵事務所を訪れ、魚塚甚に救出を依頼した。手掛かりはテープに吹き込まれていた「将軍塔の見える 花の中 星の舞う」という文言。助手の小林少年とともに、「将軍の絵柄のある仁丹の広告塔、それが見える遊園地花やしき、電飾が星のような観覧車」と解いていく。観覧車内にはテープレコーダーがあり、もう百万円を要求してきた。捜査依頼を辞退するも、是非にと押し切られ、次なる手掛かりの地球ゴマが示すものを探し歩き、怪しい三人組を尾行するが、暴漢たちに襲われてしまう。
 さらに三度目の身代金百万円が要求され、魚塚は日本初の映画専門劇場である浅草電気館に飛び込んだり、「永遠の謎」のフィルムの中で黒頭巾として桔梗姫を救い出そうとする。

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怪しいトリオの掲げる看板に書かれたMパテー商会とは日本最古の映画会社のことであり、古き懐かしき映画を思いださせずにはおかない仕掛けが随所に織り込まれている。
今となっては知る人ぞ知るといった小道具、建物、広告(黒人がストローで飲むカルピス)、三輪自動車といったアイテム、衣装(魚塚、執事はソフトをかぶり、小林はハンチングにニッカーボッカーに長靴下)が雰囲気醸成に役立っている。

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