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へッドで若干隠れちゃってるよ、このお茶目さんが~スティーヴィー・レイ・ヴォーン『ライヴ・アット・カーネギーホール』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

耳マン

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。

第121回:へッドで若干隠れちゃってるよ、このお茶目さんが

今回ご紹介するのはこちら。

スティーヴィー・レイ・ヴォーン『ライヴ・アット・カーネギーホール』(1997年)

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<あの海外セレブの背後に偶然ロバートが写り込む奇跡>

2020年も残りあと1ヶ月。僕自身もみんなもいろいろ大変だったこの1年なわけだが、ひとつだけ言えるのは芸術は不滅であるということ。人が生きる意味とは死ぬときに後悔しないため。そのために愛と栄養と芸術は必要不可欠な存在だ。もちろん服とかも必要だ。トイレも。

そして幸いなことに今は素晴らしい芸術が1万円で17個も手に入る時代である。というわけで今週は100回記念セコセコショッピング企画(https://33man.jp/article/column38/009021.html)で手に入れたなかから、白人ブルースギタリストのなかでは最強の部類に入る男のライブアルバムを。

ブルースというすべてのポピュラーミュージックのルーツでもある音楽が進化に進化を遂げすぎて、もはや原型もなくなりメインストリームからはほぼ忘れ去られていた1980年代。そんなブルース不遇の時代にある程度ロックへのアプローチも含みながらほとんど純粋な形に近いブルースで成功を収めた貴重な存在。デヴィッド・ボウイの『レッツ・ダンス』に参加したこともその成功の要因となった。お笑いで言うと若手のホープ的な落語家がR-1決勝でがっつり爪痕残すようなものか? なかなか難しそうだ。

しかし実際彼のギタープレイは往年のブルースギタリストと比べても派手だしわかりやすい。攻撃的なスタイルで、形式的にはブルースだがロック的精神も強く感じる。またボーカリストとしてもその野性味あふれる野太い声がいかにもテキサスの男といった雰囲気で、楽曲に説得力をもたせている。

『ライヴ・アット・カーネギーホール』は1984年、まさに彼がミュージシャンとして成功を収め、乗りに乗っていた時期のライブ音源を1997年に発売したものである。もともとクラシック音楽の聖地とも言えるカーネギーホールで、重厚なバンドを従えひたすらエネルギッシュに派手なロックブルースを演奏する彼の充実した感情が伝わってくるような熱いライブアルバムだ。途中、彼の兄でありこれまたブルースギタリストのジミー・ヴォーンがゲスト参加するが、さすがスティーヴィーが手ほどきを受けただけあって兄のギタープレイも(弟のような派手さはないが)素晴らしい。

ジャケットの写真はそんなカーネギーホール前での一枚。いかにも南部出身らしいファッションに身を包んだスティーヴィーとセピア調の色彩がブルージーな雰囲気を生み出していていい。それにしてもこのファッションにストラトキャスターを持っていれば多分100メートル離れていてもスティーヴィーだとわかるだろうな。ただ1980年代なだけあってややジャケットがダボダボなのが気になる。なぜこの時代はこういうのがオシャレと見なされていたのだろうか。つくづく不思議な時代だ。あとカーネギーホールの看板を指さしているのだろうが、ストラトのヘッドで若干隠れちゃってるよ、このお茶目さんが。

偉大なブルースという音楽への橋渡し的な存在でもあった彼も、偉大なアーティストのひとつの宿命か、順調な音楽活動の最中に若くして事故で亡くなっている。そのため遺された音源は少ないが、聴けばきっとブルースやギターが好きになれると思う。

音楽のルーツを知るならまずはテキサス・ハリケーンの威力を味わおう。

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