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戦国東都でV奪回を期す亜大の“割り切り作戦”

週刊ベースボールONLINE


昨秋、東洋大との“優勝決定戦”で惜敗し東都大学リーグ戦制覇を逸した亜大。試合後、生田勉監督(右)は同秋限りで勇退した東洋大・高橋昭雄監督の下で深々とお辞儀して挨拶した

 信じ難い光景が広がっていた。攻撃時のサインはなく、守備時、投手は四球を出さないことだけを考えて投げる――。4月17日に予定されるリーグ戦開幕カード(対中大)を控えたオープン戦。攻守にわたり「緻密な野球」が伝統の亜大には、あり得ない試合の進め方だった。

 しかし、これには指揮官の意図があった。亜大は毎年のようにプロ野球選手を輩出する名門校。特に投手育成に長けており、東浜巨(ソフトバンク)、九里亜蓮(広島)、山崎康晃(DeNA)、薮田和樹(広島)ら、そして昨年のドラフトでは高橋遥人(阪神)、大下佑馬(三菱重工広島を経由してヤクルト入団)が指名を受けている。

 2018年にもプロを目指す左腕・中村稔弥(4年・清峰)がいるが、過去の先輩と比べて、亜大・生田勉監督から「絶対的エース」として全幅の信頼を得ているとは言い難く、2番手以降も未知数。近年になく、投手陣に不安を抱えていた。

 亜大と言えば、常に「危機感」がキーワード。東都大学リーグは優勝を目指していく一方で、「入れ替え戦」という、まさに天と地を分ける戦いがある。つまり、一部最下位となれば、二部優勝校と次シーズンの一部をかけた“サバイバル”を突破しなければならない。仮に二部に降格すれば、神宮球場でプレーできなくなる。

 かつて、生田監督は「リーグ戦は(4月から)2カ月(計5カード)ある。6月の入れ替え戦までに一部で戦えるチーム力をつけていく」と展望したことがある。今回はまた、違った。

 すでに1月から現有戦力を把握した上で、2月から4月までの3カ月を「体力づくり」に充てると宣言したのだ。トレーニングと食事で強じんな肉体を構築する。生田監督には「技術の前に体力」という持論があり、「体力と技術、2つを求めるとケガをする」と、何度も苦い経験を味わってきた。シーズンイン後も継続して、トレーニング中心のプログラムを組むことにした。しかも、投手・野手とも同じメニュー。厳しい練習を全部員で共有することで、一体感を高める目的もある。「ピンチ」を「チャンス」に変えようとしているのだ。

「5月からの3カードと6月の入れ替え戦、計4カードを見据えて練習する」(生田監督)

 オープン戦は、まさしく“調整の場”であり、トレーニングの一環である。4月に組まれるリーグ戦2カード(中大、立正大)も、細かいことは要求しないという。選手に不安はないのか。頓宮裕真主将(4年・岡山理大付)は言う。

「僕たちは監督を信じてついていくだけ。バントなど細かい部分は各自、自主練習でこなしています。5月になったとき、一発で決められる選手でなければ、使えない」

「危機感」の上に「自主性」が芽生えた亜大。昨秋は勝ったほうが優勝という、東洋大3回戦で惜敗した。この“割り切り作戦”が、どう出るのか。6月の一部二部入れ替え戦を照準にしているとはいえ、今春の最終週(5月29日から予定)にはリーグ3連覇を狙う東洋大との“リベンジマッチ”が控える。3カ月の強化月間を経た5月、亜大はかえって不気味な存在と言える。

文=岡本朋祐 写真=黒崎雅久

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