”おそ松”たちがいるから、僕らはこの世界で生きていける。明日への勇気をくれる舞台『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME 2~』東京公演上演中!
”おそ松”たちがいるから、僕らはこの世界で生きていける。明日への勇気をくれる舞台『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME 2~』東京公演上演中!
舞台『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』(2016年)の新作にあたる『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME 2~』が大阪公演での大歓迎を受けたのち […]

舞台『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』(2016年)の新作にあたる『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME 2~』が大阪公演での大歓迎を受けたのち、東京の「TOKYO DOME CITY HALL」にて11日まで上演している。
20歳を超えても、ニート生活を続けるどうしようもない“おそ松”ら6つ子らの日常が描かれている舞台。そこからあくせく現代を生きる人々への応援歌をまざまざと感じることができた。その模様をレポートしよう。

取材・文・撮影 / 竹下力

合言葉は「これでいいのだ」

ここは真っ青な大平原。すぐそばに美しい海が広がる。見晴らしは良好。水平線はどこまでも遠い。風が清々しくて心地よい。そして燦々と降り注ぐ太陽。すべてが色めきだっている。赤、青、緑、黄色、紫、ピンク、春はそこにきている。こんな日は何も考えずにいたい。つまらない仕事も、くたびれるだけの生活も、喧嘩をしている最中の好きな恋人がベッドの隣で寝ていることも考えない! すべてがこれでいいのだ。

カーテンコールで、「おそ松さまでした」と〈6つ子〉で座長のおそ松(高崎翔太)、カラ松(柏木佑介)、チョロ松(植田圭輔)、一松(北村 諒)、十四松(小澤 廉)、トド松(赤澤遼太郎)を筆頭に、おそ松たちのイケメンver〈F6〉のおそ松(井澤勇貴)、カラ松(和田雅成)、チョロ松(小野健斗)、一松(安里勇哉)、十四松(和合真一)、トド松(中山優貴)、そして、トト子(出口亜梨沙)、イヤミ(窪寺 昭)、チビ太(KIMERU)、ハタ坊(原 勇弥)たちすべてのキャストが三つ指をついて挨拶をすれば、そんな光景が目に浮かんで涙が溢れる。そんな舞台は他にあったのだろうか。劇場を出てもまぶたの裏に焼き付いている。

そもそも、赤塚不二夫の傑作マンガ『おそ松くん』原作のTVアニメ「おそ松さん」を舞台化した本作。TVアニメ第1期が放送されるや「おそ松さん」は、流行語大賞にノミネートされた。クズでニートな6つ子たちが繰り広げる抱腹絶倒のストーリー、笑いあり涙ありの予想のつかない展開で熱狂的ファンを生み、現在ではテレビ東京系列にてTVアニメ第2期が放送中だ。

初の舞台化『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』は、2016年に東京と大阪で上演され、全公演が完売御礼という盛り上がりを見せた。1年足らずで新作の上演が決定、本作は、演出に小野真一、脚本に伊勢直弘、鹿目由紀、小峯裕之など前作を手掛けた豪華スタッフが集結し、キャストも6つ子&F6は全員続投が決定していた。

今作で仕掛けられるのは、赤塚不二夫のモダンジャズの天才ベーシストのパーシー・ヒースがごときグルーヴィーな不条理な笑いとセンスが遺憾なく発揮された極上の笑いと泣きと底抜けな明るさ満載の舞台。そして終演後、劇場を出れば、見たこともない美しい平原が広がっている。海が、空が、宇宙さえ見える多幸感で心が満たされる。

脚本の伊勢直弘、鹿目由紀、小峯裕之は、まるでセッションをするように、リズムを刻みながら、泣いて、笑って、時には怒って、感情の振り幅のリミッターを外して楽しむことができる、たった1日のシチュエーション・コメディを作り上げた。この人たちの手腕に脱帽するしかない。

演出の小野真一は凄腕ドラマーのように、ギターやベースのセクションの合いの手を入れながら、細かく丁寧に、泣き所、笑い所を作っていたので飽きることがない。会場のどの席にいても、役者をきめ細やかに配置していて気配りが利いた演出術に、いつでも、どこでも、どんな時でも、泣いたり笑ったりすることができる。

音楽の橋本由香利は、ダンサンブルな曲から、ロックにラップ、バラードまで幅広く、最後にはアコギ一本で華麗に締める。まるでケンドリック・ラマーか、ボブ・ディラン。明日の風は明日に吹くと教えてくれる。劇中歌プロデュースのTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの手腕とともに聴き応え十分のリスニング体験をさせてくれる。やはり「TOKYO DOME CITY HALL」の音響が素晴らしいせいか、思わず踊りだしたくなる。

そしてクズでニートな役者陣も見どころだ。エンタメステーションでの高崎翔太と井澤勇貴のインタビューは予習に最適だろうが、おそ松(高崎翔太)、カラ松(柏木佑介)、チョロ松(植田圭輔)、一松(北村 諒)、十四松(小澤 廉)、トド松(赤澤遼太郎)たちは凄まじい稽古を経て笑いの鬼になっているようだった。キャラクターが憑依し、少しもセリフがブレない。

高崎は「正直言って厳しくなりましたね。単純に『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』を超えたい想いの丈を肌に感じるんです。細かいところまでダメ出しをするし、全員、高度なことを求められています。みんなでキャラクターを演じながらコントをするという難しいことに挑戦するんです。小野さんが、ちょっと時間があるとみんなとセリフの練習をしていたり、側から見ていると年上の僕は迷惑はかけられないから、みんなをカバーしていきたいですね。逆をいえば、小野さんは僕たちを信頼してくれるから厳しいんですよ。気になるところは的確におっしゃってくれる。実は、“おそ松”はアドリブがないんです。本当にしっかりした稽古をするから何度でも観劇しても笑えると思うんですね。そんな舞台を作るために小野さんは今度の公演に向けてシビアにパワーアップしました(笑)」という言葉の意味の真価を知ることができる。

〈F6〉のおそ松(井澤勇貴)、カラ松(和田雅成)、チョロ松(小野健斗)、一松(安里勇哉)、十四松(和合真一)、トド松(中山優貴)たちも同様だ。歌にダンスに、恒例のティッシュタイム(!?)に、燦然と舞台に華を添える。

トト子の出口亜梨沙はセクシーで明るい未来を望む女の子を、イヤミの窪寺 昭は本当に“嫌味”なのに、ちょっとイケズな面を垣間見せつつ伝説のギャグをかまし、チビ太のKIMERUは大人になって、なんとも言えない堅気の親父の空気を背中から醸し出し、ハタ坊の原 勇弥は少し飛んでいるようなキャラクターを十二分に生きていた。

みんな誠実に生きていた。それぞれの激しい稽古を積んで。彼らカンパニーは我々の前に世にも美しい大平原を作り上げていた。そして彼らが大平原まで連れて行ってくれる……そんな感動的な体験をしよう。彼らは僕らの手を離しはしない。

時に生きにくい世の中だから、たまには与えられた役割や、プライドや、仕事の価値なんか捨てちゃおう。そんな舞台に巡り会えたハッピーな日を祝おう。ただ笑って、明るくなって、その日の一瞬を生きることに価値がある。そんな日があるからこそ、仕事で辛い日があったって、恋愛で辛い日があったって、「これでいいのだ」。

”おそ松”たちがいるから、僕らはこの世界で生きていける。明日への勇気をくれる舞台『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME 2~』東京公演上演中!は、【es】エンタメステーションへ。

(更新日:2018年3月11日)

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