そのめまい、“耳のトラブル”かも…医師語る相関関係
そのめまい、“耳のトラブル”かも…医師語る相関関係
「がんや生活習慣病などは情報も大量にあり、日ごろからみなさん気にかけていますが、耳には無頓着な人が多いです。

「がんや生活習慣病などは情報も大量にあり、日ごろからみなさん気にかけていますが、耳には無頓着な人が多いです。老化や生活習慣が原因で起こる“耳の病気”は、大きく生活の質を落とすのです」

こう語るのは、『めまいは寝転がり体操で治る』(マキノ出版)の著書もある、聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科教授の肥塚泉先生。「認知症予防!」「視力回復!」。そういった情報を得るのは確かにいいこと。でも、「耳を守る健康法」って聞いたことがないような……。言われてみれば、耳には無頓着な人は多い気もする。

そこで、まずは耳の構造と役割を肥塚先生が解説。

「耳の入口から2.5センチほど奥にある鼓膜までが外耳、鼓膜から1センチほど奥にある空間が中耳、さらに奥にある部分が内耳になります」(肥塚先生・以下同)

内耳は、鼓膜からの振動を電気信号にして、脳に伝える。内耳にある蝸牛という器官は、マイクのようなものだ。そして前庭神経は、体の平衡感覚を保つために存在している。

「三半規管は3つの半円の管からできており、内部はリンパ液で満たされ、その流れ方で垂直方向、水平方向の回転運動を感じ取ります。三半規管の下部にある耳石器には、カルシウムでできた無数の『耳石』が詰まっており、耳石が動くことで私たちは上下、前後、左右の動きや傾き、重力を認識します」

ふだん私たちがまっすぐ歩けているのは、“健康な耳のおかげ”といってもいいのだ。

「突然、目がぐるぐる回りだし、ときには冷や汗が出たり、強い吐き気をもよおしてしまうことも……。こうしためまいの7割は、内耳のトラブルが原因です」

めまいが生じたとき、つい“脳に問題があるのでは”と考え、耳鼻咽喉科ではなく脳神経外科や神経内科に駆け込む人もいると肥塚先生。

「ろれつが回らない、まひやしびれ等があれば脳障害が疑われますが、それらがない場合、耳の病気である可能性が高いでしょう。それなのに医療機関では“精神の病い”と誤診され、精神安定剤ばかりを飲み続けて、根治できないケースもすくなくありません」

このようなめまいは女性の場合、40代から閉経時にかけて、「老化」とともに発症する

人が多くなるという。転倒するリスクは通常の2倍、外出中に大事故を引き起こしてしまう危険性もある。肥塚先生が「めまいを引き起こす内耳トラブル」を教えてくれた。

【1】良性発作性頭位めまい症

寝返りを打ったり、靴ひもを結んだりするなど、頭を動かしたときに起こるめまい。一見、耳とは関係のない症状に感じられる。

「30秒ほど、目が回る強烈な感覚に襲われます。難聴や耳鳴りなどの症状は伴いませんが、再発することも多いです」

この症状は、悩む男女比が1対5と、女性に多いのが特徴。じつは耳の中の“カルシウム不足”が原因の場合が多いという。

「好発年齢は50〜60代後半です。閉経後の女性は体内のカルシウムが不足し、骨粗しょう症になりやすいことは知られています。同じように、前述した体のバランスをつかさどる『耳石』も炭酸カルシウムでできているため、老化によってもろくなるのです。耳石器からはがれ落ちた耳石が、三半規管に入り込むことで、平衡感覚が取れなくなり、めまいを引き起こすのです」

【2】メニエール病

自分や周囲の風景がぐるぐる回っているような感覚になる「回転性めまい」を、週単位、年単位で何度も繰り返すことになるのがこの病気だ。

「症状は数十分から半日ほど続きます。低音が聞きにくい難聴、耳鳴りや耳が詰まった感覚(耳閉感)を併発します」

こうした症状が出るのは、内耳にある蝸牛や三半規管内のリンパ液が増え、感覚細胞が刺激されるため。

「原因としては、現在のところ、ストレスという説が強いです。男性の場合は仕事で抱えるトラブル、女性の場合は介護疲れから発症するケースが多いです」

【3】めまいを伴う突発性難聴

まったく前触れがなく、ある日突然、耳が聞こえなくなるのが、突発性難聴だ。ウイルス感染や、ストレスが原因とされている。

「多くはどちらか片耳に症状が出ますが、ごくまれに両耳が聞こえなくなるケースもあります」

回転性めまいを伴うこともあるが、メニエール病と違い長引かず、繰り返さない。

「メニエール病と誤診されやすいですが、めまいが治まっても、難聴や耳鳴りが続く場合は突発性難聴が疑われます。最も重要なのは、症状を感じたらすぐに受診すること。即対応できれば、聴力が回復することが期待されます。2週間をすぎると、聴力が戻らないことも……」

【4】前庭神経炎

強い回転性めまいが、数日間にわたって断続的に続くのが特徴。いったん治まると、強いめまいは起こらず、難聴や耳鳴りはない。

「風邪を引いた後に発症しやすいため、ウイルス感染による前庭神経の炎症が原因ではないかと考えられています。急性期には対症療法(めまいに対して抗めまい薬、吐き気や嘔吐に対しては制吐薬)が優先されます」

(更新日:2018年3月10日)

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