“佑ちゃん”フィーバーから始まった大学有力新人の初日取材
“佑ちゃん”フィーバーから始まった大学有力新人の初日取材
2007年1月13日、早大の東伏見グラウンドは新1年生・斎藤佑樹(早実)の「初練習」に大フィーバーとなった 

2007年1月13日、早大の東伏見グラウンドは新1年生・斎藤佑樹(早実)の「初練習」に大フィーバーとなった

 プロ野球のキャンプインは2月1日。一方、大学球界もこのタイミングに合わせて、新1年生が続々と入寮する。各アマチュア野球担当記者は甲子園を沸かせた有力ルーキーたちの「大学初日」を取材しようと、各合宿所、グラウンドへと足を運ぶ。

 対象選手を待っていると、ある新聞記者がふと「こういった取材は、いつから始まったんですかね?」と漏らした。怪物・江川卓が作新学院高(栃木)から法大へ入学した1974年は、大変な騒ぎになったと聞いたことがある。しかし、その後は……。

 関東で言えば、東京六大学、東都大学を中心に、注目ルーキーの“始動”を細かく取材するようになったのは最近のような気がする。

 この形が定着した時期を考えると、2007年1月13日に行き着いた。前年夏の甲子園で「ハンカチ王子」「佑ちゃん」として、社会現象にもなった早実のエース・斎藤佑樹(現日本ハム)が全国制覇。「ドラフト上位候補」と言われたが、プロ志望届を提出せず、早大へ進学。その練習初日(写真)に、東伏見グラウンドは報道陣やファンで大フィーバーとなったのである。

 この取材をきっかけに、甲子園で「佑ちゃん」と縁のあった他大学のライバルたちの動向も、各社が報じるようになった。決勝再試合で名勝負を演じた駒大苫小牧高(北海道)で言えば、主将だった亜大・本間篤史(のちJR北海道)。つまり、斎藤佑樹がアマチュア野球の取材態勢を大きく変えたのである。

 右も左も分からない新1年生は初々しい。昨夏までは丸刈りだった球児も、だいぶ髪の毛が伸びて、大人の雰囲気を醸し出す。この大学合流に向け、しっかりと体を絞ってきた選手もいれば、やや体重オーバーで姿を見せる選手もいる。

 質問はなぜ、この大学を選んだのか? そして、大学4年間の展望、将来像を語る場となるが、前年夏との“差”を確認するだけでも、興味深い機会となる。

 高校3年生から大学1年生。つまり、上級生から下級生としての再出発は、精神的にも負担が大きく、不慣れな時期を過ごすことになる。中には高校野球で燃え尽きてしまったのか、目標を見失い、残念ながら挫折するケースも見られる。

 昨今は「上下関係」が軽減されつつあるとはいえ、1年生は雑用に追われることも少なくない。思い描いたシナリオどおりに物事が進まない可能性もある。とはいえ、誰もが通る道だ。これらの“ギャップ”に順応した先には必ず、明るい未来が待っている。たとえ、レギュラーになれなくても、大学4年間を全うすれば、社会へ出る下準備としては最高の時間を過ごせるのは間違いない。

 初心を忘れず、一つひとつ積み上げていくことが、人としての幅を広げる。毎年恒例となった「大学初日」を取材するのは、今後の成長を見届ける意味でも、貴重な機会である。

文=岡本朋祐 写真=BBM
(更新日:2018年2月11日)

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