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桑田真澄は言った。「自分のグラブが届く範囲の打球がセンターに抜けるのは、屈辱的で許せなかった」と。

週刊ベースボールONLINE


GG賞の金色のグラブのトロフィーを手にする桑田

 ゴールデン・グラブ(GG)賞という、これまでありそうでなかったテーマが大特集された。

 12月29日発売(一部地域を除く)の『ベースボールマガジン』2月号だ。

 GG賞は、打撃や投手タイトルに比べて、誰もが納得できる数字によって決まるものではない。もちろん、刺殺や補殺、失策と、守備の能力を判断するための一定の指標はある。だが、それがすべてではない。見る人間の主観に少なからず委ねられる。候補選手の印象やイメージ、記憶。それらは投票する記者が200人いれば、200人分の真実がある。

 そのため評価される側の選手、またファンの間で賛否両論が生まれやすい。「AよりBのほうがうまいのに、なぜAが受賞するのか」という異論は過去にも選手の口から飛び出した。

 GG賞は、数字に裏付けられた絶対的な正解がない。逆にいえば、だからこそ守備の世界は奥が深い。目の前の事実より、心の中の真実。客観より主観。数字では測りきれぬ守備のプロフェッショナルの矜持が、同誌では存分に語られている。


ベースボールマガジン2月号

 セ・リーグ投手部門では、1972年の制定以来、巨人の“独占市場”となってきた。第1回から堀内恒夫が7年、これを受け継いだ西本聖も7年と、いずれも連続受賞。実に14年間、他球団を寄せ付けなかった。90年代に入れば、三本柱の桑田真澄と斎藤雅樹が2年おきに受賞するなど、90年から2001年まで11年連続で巨人投手陣の天下だった。

 その中で通算8回受賞の桑田は、「僕は守備が一番得意なんです。2番目がバッティング。一番苦手なのがピッチングなんです」とした上で、「そんな自分の得意分野を評価される意味でも、GG賞は欲しい賞でした」と明かしている。

 ピッチング以外の投手の守備に関しては、案外注目されない。そこに光を当てたのがGG賞の投手部門だが、では投手のフィールディングでは具体的にどこをどう見るべきなのか。

 カバーリング、投げた直後のフィールディング態勢への移動、ピッチャー強襲のゴロに対するグラブの出し方、「自作自演」のゲッツー狙いなど、桑田氏は自らの体験に基づいて、さまざまなピッチャーの守備の極意を話してくれた。「自分のグラブが届く範囲の打球がセンターに抜けるのは、屈辱的で許せなかった」とも。

 ピッチャーは投げることがまず基本。そこはどんな投手も押さえている。タイプが分かれるのは次の点だ。ボールをリリースした瞬間、あとは野となれ山となれなのか、それとも直後に“9人目の野手”へと変身を遂げるのか。桑田氏は自ら「僕は総合力でチームの勝利に貢献するタイプのピッチャー。ですから投げて打って守るわけです」と語った。

 桑田氏は、解説でよく「ピッチャーというのは――」という主語で話をする。自分はいったい何者なのか。現役を引退しても、桑田真澄のアイデンティティがピッチャーであることに変わりはない。

文=佐藤正行(ベースボールマガジン編集長) 写真=BBM

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